京都府議会 > 2015-12-01 >
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年地域創生戦略に関する特別委員会12月定例会 本文
平成27年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会12月定例会1日目 次第
平成27年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会12月定例会1日目 本文
平成27年12月定例会(第3号) 名簿・議事日程
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 本文
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 表紙
平成27年12月定例会[巻末掲載文書(目次)]
平成27年議会運営委員会12月定例会 表紙
平成27年12月定例会(第7号)  本文
平成27年12月定例会(第7号) 名簿・議事日程
平成27年関西広域連合に関する特別委員会12月定例会[ 参考資料 ]
平成27年スポーツ振興特別委員会12月定例会[ 参考資料 ]
平成27年地域創生戦略に関する特別委員会12月定例会[ 配付資料 ]
平成27年関西広域連合に関する特別委員会12月定例会[ 配付資料 ]
平成27年スポーツ振興特別委員会12月定例会[ 配付資料 ]
平成27年議会運営委員会12月定例会 本文
平成27年議会運営委員会12月定例会 次第
平成27年12月定例会 目次
平成27年議会運営委員会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会12月定例会1日目 本文
平成27年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会12月定例会1日目 本文
平成27年12月定例会(第5号)  本文
平成27年総務・警察常任委員会及び予算特別委員会総務・警察分科会12月定例会1日目 表紙
平成27年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会12月定例会1日目 次第
平成27年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会12月定例会1日目 表紙
平成27年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会12月定例会1日目 次第
平成27年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会12月定例会1日目 表紙
平成27年12月定例会(第4号) 名簿・議事日程
平成27年12月定例会(第1号)  本文
平成27年12月定例会(第1号) 名簿・議事日程
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 表紙
平成27年12月定例会(第2号) 名簿・議事日程
平成27年12月定例会(第3号)  本文
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会 本文
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 表紙
平成27年12月定例会(第2号)  本文
平成27年12月定例会(第4号)  本文
平成27年議会運営委員会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会 表紙
平成27年議会運営委員会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会 表紙
平成27年議会運営委員会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年議会運営委員会12月定例会 本文
平成27年12月定例会(第5号) 名簿・議事日程
平成27年議会運営委員会12月定例会 次第
平成27年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会12月定例会1日目 本文
平成27年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会12月定例会1日目 次第
平成27年府民生活・厚生常任委員会12月定例会1日目 本文
平成27年府民生活・厚生常任委員会12月定例会1日目 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会 表紙
平成27年12月定例会(第6号)  本文
平成27年農商工労働常任委員会及び予算特別委員会農商工労働分科会12月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成27年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会12月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成27年関西広域連合に関する特別委員会12月定例会 本文
平成27年スポーツ振興特別委員会12月定例会 本文
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 本文
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 次第
平成27年暮らしの安心・安全対策特別委員会12月定例会 本文
平成27年暮らしの安心・安全対策特別委員会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年防災・危機管理対策特別委員会12月定例会 表紙
平成27年地域創生戦略に関する特別委員会12月定例会[ 参考資料 ]
平成27年暮らしの安心・安全対策特別委員会12月定例会 表紙
平成27年暮らしの安心・安全対策特別委員会12月定例会[ 参考資料 ]
平成27年暮らしの安心・安全対策特別委員会12月定例会[ 配付資料 ]
平成27年議会運営委員会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会 表紙
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 表紙
平成27年防災・危機管理対策特別委員会12月定例会 本文
平成27年防災・危機管理対策特別委員会12月定例会 次第
平成27年議会運営委員会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会12月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成27年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会12月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成27年府民生活・厚生常任委員会12月定例会1日目[ 参考資料 ]
平成27年府民生活・厚生常任委員会12月定例会1日目[ 配付資料 ]
平成27年議会運営委員会12月定例会 本文
平成27年関西広域連合に関する特別委員会12月定例会 表紙
平成27年スポーツ振興特別委員会12月定例会 次第
平成27年スポーツ振興特別委員会12月定例会 表紙
平成27年議会運営委員会12月定例会 本文
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会[ 別紙 ]
平成27年議会運営委員会理事会12月定例会 本文
平成27年防災・危機管理対策特別委員会12月定例会[ 参考資料 ]
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平成27年文化・教育常任委員会及び予算特別委員会文化・教育分科会12月定例会1日目 表紙
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平成27年環境・建設交通常任委員会及び予算特別委員会環境・建設交通分科会12月定例会1日目[ 参考資料 ]
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    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成27年12月定例会(第2号)  本文 2015-12-07 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 49 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 2 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 3 :  ◯小鍛治義広君 選択 4 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 5 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 6 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 7 :  ◯小鍛治義広君 選択 8 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 9 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 10 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 11 :  ◯小鍛治義広君 選択 12 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 13 :  ◯林田洋君 選択 14 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 15 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 16 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 17 :  ◯林田洋君 選択 18 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 19 :  ◯教育長(小田垣勉君) 選択 20 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 21 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 22 :  ◯上原裕見子君 選択 23 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 24 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 25 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 26 :  ◯上原裕見子君 選択 27 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 28 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 29 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 30 :  ◯上原裕見子君 選択 31 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 32 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 33 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 34 :  ◯上原裕見子君 選択 35 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 36 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 37 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 38 :  ◯上原裕見子君 選択 39 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 40 :  ◯知事(山田啓二君) 選択 41 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 42 :  ◯教育長(小田垣勉君) 選択 43 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 44 :  ◯上原裕見子君 選択 45 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 46 :  ◯教育長(小田垣勉君) 選択 47 :  ◯議長(植田喜裕君) 選択 48 :  ◯上原裕見子君 選択 49 :  ◯議長(植田喜裕君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長(植田喜裕君) これより平成27年12月京都府議会定例会を再開し、直ちに本日の会議を開きます。            ──────────────────── 2: ◯議長(植田喜裕君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。  通告により順次発言を許します。  まず、小鍛治義広君に発言を許します。小鍛治義広君。    〔小鍛治義広君登壇〕(拍手) 3: ◯小鍛治義広君 公明党議員団の小鍛治義広です。私は会派を代表し、さきに通告いたしました府政の諸課題数点について、山田知事並びに関係理事者に質問をいたします。明朗かつ積極的な答弁をお願いいたします。  初めに、本定例会に提出されました補正予算案について申し上げます。  まず、TPP問題検討調査費として、TPP大筋合意による影響について国の調査結果を踏まえた分析・調査等を実施するための予算が計上されています。TPPについては企業の海外展開の促進が期待される一方、農林漁業者の中には不安を抱かれている方もおられます。こうした状況を踏まえ、関係業界の方々の意見聴取と影響分析・調査等をしっかりとしていただき不安を解消するとともに、TPPのメリットを生かす支援を行っていただくようお願いいたします。  また、本定例会に関連条例案が上程され、来年度から導入される豊かな森を育てる府民税について、府民への周知を実施する予算も計上されております。6月府議会の導入決議にもありますように、この税の趣旨に対する府民の理解が得られるよう丁寧な説明をしていただくとともに、使い道を明らかにして森林保全などの分野で効果的な事業を展開していただくようにお願いするものであります。他の補正予算案も時宜にかなったもので評価いたします。  それでは質問に入ります。  まず、地域創生戦略についてお伺いいたします。  京都府においては7月に京都縦貫自動車道が全線開通し、来年度には新名神高速道路の高槻ジャンクションから神戸ジャンクション、さらに城陽ジャンクションから八幡ジャンクションの開通も予定がなされ、道路交通網の整備が着々と進んでいます。また、府が先頭に立って進めている「海」「森」「お茶」の3つの京都については、事業を軌道に乗せながら地域創生をなし遂げていかねばなりません。こういった中、本年10月には平成31年度までの5年間の京都府地域創生戦略が4つの基本目標を掲げて発表されました。とりわけ地域創生戦略の最も重要な点は、人口減少に歯どめをかけないと活力ある京都を維持できないということであります。  そこで、京都への人の流れをつくる基本目標に関してお聞きいたします。京都府における人口推移を見ると、2014年は非常事態ともいうべき出生率1.24、全国ワースト2を3年連続記録する少子化とともに、総人口は2004年の約265万人をピークに減少、既に本格的な人口減少局面に入っています。例えば、府北部地域は出生率は全国平均をも上回っていますが、大学進学時を含む15歳から19歳の人口転出が大きく、その後の転入は少ない。また、府南部の相楽東部地域の出生率は全国平均を大きく下回るとともに、全世代で転出超過が進んでいるように、地域により傾向が異なっています。  そこで、お伺いいたします。「海の京都」などの取り組みで、府北部の交流人口は大幅に増加をいたしましたが、今後それをどのようにして定住人口の増加につなげようとされているのでしょうか。交流人口がふえた地域の定住人口を増加させる次の取り組みをお聞かせください。  また、府南部の相楽東部地域では人口減少が特に著しく、生活圏が奈良県や三重県に比重があるため、府県を越えた取り組みも必要と考えます。隣接する木津川市との連携とともに、隣接県の三重県伊賀市などを含めた、より広域での交流人口をさらにふやす戦略が必要と考えますが、いかがですか。それには道路や道の駅、さらには鉄道、駅を活用したにぎわいを取り戻す政策なども含めて、知事の御所見をお聞かせください。  これまで国における地域の活性化対策は何度も繰り返されてきましたが、地域全体での取り組みにならなかったことや、一過性のもので持続的でなかったことなどから現在に至っています。そのため、今回はこれまでの課題点などを踏まえ、トップダウンの政策ではなく、地域の声を取り込んだボトムアップかつ持続可能な具体的な政策立案が最重要と考えます。京都府という立場からすれば、各市町村がしっかりと地域住民や企業、各種団体との連携を深め、協議された創生戦略が作成されていなければ、最終的に府としてうまく機能する戦略にはなり得ないと考えます。また、国においては産業構造や人の流れなどに関するビッグデータを可視化する地域経済分析システム(RESAS(リーサス))の提供が始まっています。例えば、RESASを利用すると、観光客がどこに、いつ、どの時間帯によく行っているのか、さらにはその観光客がどこからその場所に行ったのかなどが一目でわかるようになります。  そこで、お伺いいたします。地域創生戦略における課題解決に関しては、府がこれから実施する政策に対しての効果検証をより迅速にするため、PDCAサイクルを早めることも必要です。そのためにRESASなどの活用も含め、どのように対策を講じようとされているのか、知事の御所見をお聞かせください。  次に、原発事故に備えた、より実効性のある広域避難計画についてお伺いいたします。  東京電力福島第一原発の事故を受け、国は原発から半径30キロメートル圏内の緊急時防護措置準備区域、いわゆるUPZの自治体に住民の避難先や移動方法を細かく定めた計画づくりを求めています。そのことを受け、京都府においては福井県にある関西電力の高浜・大飯発電所で事故が起こった場合の広域避難計画が既に作成されています。
     現在、高浜原発から約30キロメートル圏内には約12万8,500人の京都府民が暮らしておられ、原発事故が発生した際は安定ヨウ素剤を服用後、避難中継所などにおいて汚染検査(スクリーニング)を行い、汚染されていない人は受け入れ避難先へ、汚染されている人は指定の病院へ行くこととなっています。現状、府県が各市町村の避難計画の策定支援をすることとなっていますが、避難計画は原子力規制委員会による原発の規制基準の審査対象には含まれておらず、広域避難計画の審査もありません。そのため避難先やルートが複数の自治体にわたることからも、本当にその計画が原発事故発生時に有効に機能し府民の安全を確保することができるのかどうか、しっかりとしたチェックとも言うべき確認作業が必要と考えます。  そこでお伺いをいたします。現状、広域避難計画において、府として確認すべき課題点をどのように認識され、各市町村との連携のもと、どのように改善をしようとされているのか、知事の御所見をお聞かせください。  さらに数点、最小不可欠と思われることをお伺いさせていただきます。  最初に、避難に使用するバスの供給についてであります。計画においては住民全体の迅速な避難を図るため、自家用車またはバス等で避難することとしており、関西全体でバスを調達する計画となっています。現状、バス会社との協定が結ばれたと聞き及んでいますが、次の点が懸念されます。まずは、バスが運転手の被曝限度年間1ミリシーベルトの中、UPZ圏内に安全に来ていただく確実な方法が定まっているのか、また観光客が大幅に増加する中、バスが迅速に調達できるのかなどであります。  そこでお伺いいたします。今回のバス会社との協定内容はどのようなものとなっているのかお聞かせください。さらに、その協定を実施するためにはバス運転手の安全確保のための対策やバス調達に係るシミュレーション、そしてそれに基づいた訓練の実施なども必要と考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、安定ヨウ素剤の配付方法、備蓄についてお聞きいたします。現在、府においては原子力施設からおおむね5キロメートル圏内のPAZ圏内では安定ヨウ素剤が事前に配付され、PAZ圏外の地域の方や観光客の分は13カ所で備蓄がなされています。しかしながら、UPZ圏内にはわずか3カ所しか備蓄箇所がない上に、緊急配付は備蓄先より一時集合場所等に設置する緊急配付場所に搬送の上、対象住民等に順次配付、調剤を実施することとなっています。  そこでお伺いいたします。安定ヨウ素剤は服用後2時間後にはその効果が低下するとされており、さらに安定ヨウ素剤に対するアレルギー等の把握もしなければならないため、限られた時間内での作業となります。こういった状況を考えると、PAZ圏外でも迅速に服用するために必要に応じてより広域での配付計画をつくることや、放射線防護施設にも安定ヨウ素剤の備蓄が必要と考えますが、いかがですか。それらを想定した上での配付計画についても、知事の御所見をお聞かせください。  さらに、要配慮者の避難については重症入院患者に対する病院の避難計画は策定済みと聞き及んでいますが、妊婦や乳幼児の安全確保なども含めた要配慮者を守る避難計画についても強く求めるものであります。  次に、原発事故、地震や風水害発生時など、緊急事態における府施設の整備についてお伺いいたします。緊急事態の際は府の施設が府民を守るとりでとして機能するためにも、情報通信手段の無料Wi-Fiスポット、電源供給のための自家発電装置の設置や耐震化などの整備が進んでいると認識をしています。しかしながら、無料Wi-Fiスポットに関しては、府庁においては設置がなされておらず、また地下駐車場を含む建物内では携帯電話の不感エリアや電波の状況が悪いエリアがあります。さらに無料Wi-Fiスポットのアクセスポイントは現在、京都府や京都市、さらに隣接県において異なるため、非常に使い勝手が悪いものになっていると認識をしています。そのため広域での避難等を考えた場合、それらを統一する取り組みを進めるべきと考えます。  また、自家発電設備に関しては、本年7月に防災・危機管理対策特別委員会で埼玉県の取り組みを視察した際、県全体としてのリスク分散の観点から重油や軽油などを燃料とした従来型の自家発電設備とともに、都市ガスやLPガスを燃料とするものも導入がなされていました。  そこでお伺いいたします。府庁を含む府施設の無料Wi-Fiスポット、自家発電装置の設置、耐震化など、府施設のハード面での機能をあらゆる角度からさらに充実すべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、府内自治体の業務継続計画(BCP)の策定についてお伺いいたします。京都府では本年10月に近畿2府7県が参加した近畿府県合同防災訓練が実施されました。これは府南部における直下型地震災害で土砂災害や大規模火災、橋梁倒壊などが想定されましたが、府民の命を守るためには自治体における事業の継続が重要なことは承知のところであります。そのため私は昨年6月の本会議において、まず緊急時における各自治体のBCPの策定が必要であり、府が策定したBCPと連動させなければ有効に機能できないと質問をいたしました。当時、府内では5市町村のみが策定済みでありましたが、「今後、他の市町村に対しても策定支援をしていく」と御答弁をされました。自治体や民間企業などにおいてBCPを策定するか否かはトップの考え方に大きく影響されると考えます。  そこでお伺いいたします。府と各市町村BCPとの連動の重要性をどのように認識されているのか、また現状、策定が進んでいない市町村に対してはいつまでに策定していただくのかなど目標を定め、しっかりと取り組んでいただく必要があると考えますが、京都府の姿勢をお聞かせください。 4: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 5: ◯知事(山田啓二君) 小鍛治議員の御質問にお答えいたします。  小鍛治議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。  まず地方創生、とりわけ人口減少対策でありますけれども、交流人口と定住人口というのは、国の計画におきましても1億2,000万人が1億人にまで2割減っていく形をとっており、そうしたときに地域の経済や地域の力というのをどうして維持していくかというときに、交流人口というものによって定住人口の減を補っていこうという面があります。ただ、どこかで定住人口が一定減るのをとめていかなければならない、どこかで安定的なラインへ持っていかなければならないということで、特にその対策は府北部地域では重要になってくるというふうに考えております。この地域については製造業等の第2次産業の割合が高いことや、職住近接等の就労環境もいいわけでありまして、合計特殊出生率で見ますと全国平均を上回る水準にあります。ただ一方では、社会移動について、大学等の進学時期を含む15歳から19歳の転出超過が非常に大きくて、就職年齢の20代では転入超過もあるんですけれども、全体ではやっぱりその分の転出超過を取り戻せない状況のまま厳しい状況が続いているということが言えると思います。  したがいまして、この地域の人口減少対策といたしましては大学等進学時の流出対策、そして出生率にも寄与いたします就労先となるものづくり産業を初め、魅力ある仕事づくりをしてIターン、Uターンを促していく。さらには、住民満足度の低い住宅事情や買い物などの生活サービス機能の向上といったものが必要になってくるというふうに考えております。このため、現在、福知山の公立大学の設置などの取り組みを支援しておりますし、またその中でさまざまな専門的な学校等の配置も行って、こうした進学時の流出の抑制に努めておりますし、企業誘致や北部リサーチパークの整備等による新しいものづくり産業の振興ですとか、丹後地域から中丹地域への通勤者の拡大、また「海の京都」によります総合的な6次産業というものをしっかりつくり上げていくことによって域内雇用の拡大をしていく。さらには「海の京都」で培いました北部市町の連携による地域の力を高めていく。こうした連携活動をこれからも推進していくために、北部地域連携都市圏づくりによる医療や福祉、教育、交通等の充実した質の高いサービス等の提供体制を確保していくなど、多面的な対策によって北部地域の人口減少対策を進めてまいりたいと考えているところであります。もちろん、その中に交流人口、これは舞鶴港から「海の京都」まで幅広く確保していきたいと思っております。  次に、相楽東部地域でありますけれども、この地域の特徴は人口に占める20代、30代の女性の割合が非常に低い。その中で特殊出生率も府内の最低水準となっているという現状があります。さらに、そこに社会移動が加わってくるために非常に厳しい状況が生まれてきております。この原因としましては、通勤・通学の便と日常生活の不便などから特に女性の定住意向が非常に弱い。しかも、近くに都市圏があるために流出しやすいという環境もあるというふうに思っております。そのため、1つには、女性の定住意向をどういうふうに高めていくのか。通勤・通学の不便さに対しては生活道路等のアクセスの改善ですとか、新しい公共システムの導入ですとか、さらに学研都市や御指摘のありましたように三重県や奈良県との交流によって、全体としての都市圏というものをつくっていくことによって定住化を図っていくといったこともやっていかなければなりませんし、女性の移住促進ですとか、仕事づくりの場としてのサテライトオフィスの整備なども取り組んでいきたいと思います。  こうした点を踏まえて、この学研都市は伸びている地域でもありますから、それをうまく活用して連携を深めることによって、その伸びというものをうまく吸収できるようにしていける可能性もあるというふうに考えておりますので、その点をしっかりと追求していきたいと考えているところであります。  こうした地域創生戦略の課題解決に当たりましては、今、御提案がありましたように、RESASというのは移動状況がしっかりわかりますし、どこからどういう形で人や物が流れているのかがわかるわけでありますから、そうした分析を通じて、この問題に対しても科学的なアプローチをしていくという点から、これからも使用していきたいと思いますけれども、まだ市町村データの統合ができないなど、ビッグデータのサンプル数が少ないといった問題も含めてさまざまな問題がありますから、これにつきましてはその改善も含めて訴えていきたいと思っているところであります。  次に、原発事故に備えた対策についてでありますけれども、京都府及びUPZ圏内にある市町村では既に国の基本方針、そして府が計画をつくり、それを踏まえた形で地域の事情に一番詳しい市町村が避難の一番先頭に立つわけでありますけれども、そこに計画をつくっていただいているところであります。ただ問題は、こうした市町村の責任を超えていく広範な移動ですとか調整、京都府におきましても福井県や滋賀県との調整、こうした問題というのは、現在、国の内閣府が主体となって取り組んでいただいているところでありまして、こうした問題とともにやっていかなければならないというところでございます。この調整について、今、福井エリアでは地域原子力防災協議会がつくられております。この場におきまして、福井県住民と避難経路が重複することによる渋滞対策ですとか、他府県を含めたUPZ圏外からのバス車両及び福祉車両の確保ですとか、自衛隊や他府県への運転要員やスクリーニング要員、そして安定ヨウ素剤緊急配付時における医師、薬剤師の応援要請など、こうした問題について検討していく。これは11月に関係市町村で開催されました住民説明会の場でも、こうした点についての意見がかなり出されておりますので、それをしっかりと解決するために協議を進めていきたいと思っております。バス会社との協定につきましては、京都府と京都府バス協会とで平成20年1月に、「災害等緊急時におけるバス輸送の協力に関する協定書」を締結しております。また、今月2日には、関西広域連合及び構成府県と構成府県バス協会との間で被災者の輸送業務ですとか災害応急対策に必要な要員、資機材の輸送業務、ボランティアの輸送業務等、緊急輸送に関する包括的な協定も締結されたところでありまして、今、二重にも三重にもこういう形で確保体制をつくっているところであります。  UPZ圏内における緊急時の避難につきましては、まず屋内退避を行いまして、放射性物質が雲状になったプルームというものがまず一定やってまいりますので、それが通り過ぎるまでそこで避難をしていく。そして通り過ぎたのを確認した後に、空間の放射線量が一定基準を超えた地域から順次1週間程度で避難を行うということでありまして、基本的にはバスのピストン輸送により対応することになると思っております。なお、バスの運転手の安全確保対策として、必要な汚染防止服ですとか個人線量計を500人分備蓄しているところでありまして、今後、国の支援も得ながら、こうした点についても研修会を開催して、さらにきちっと対応ができるようにしていきたいと考えているところであります。  次に、安定ヨウ素剤についてでありますけれども、京都府ではUPZ圏内全ての住民、旅行者分等を合わせた約20万人分の安定ヨウ素剤を確保しております。備蓄場所につきましては、市町村の防災計画に位置づけることを基本としているのですけれども、やはり薬剤でありますから、ほったらかしにすることはできないので、薬剤師や保健師等が常駐して適正に管理できること。そして、道路状況などを踏まえて、緊急時に速やかに搬送し配付できること。こういう2つの条件を満たすということでそれぞれのところが検討され、医療機関や保健センター等を選定しているところが多くあるところでございます。このため、UPZ圏内では3カ所、そしてそれ以外では、市町村の一部がUPZ圏に含まれている福知山市等につきましては、今言ったような条件を満たす地域として、市中心部の医療機関等を備蓄場所に選定されているところであります。  先月北部で実施しました小学生からお年寄りまで関係機関の職員も含めまして600人が参加した訓練におきましては、高浜原発の事故を想定しまして要配慮者の避難訓練を行ったほかに、一時集合場所であります宮津市内の小学校におきましても安定ヨウ素剤の配付訓練などを実施して、この手順を確認したところであります。計画はあるわけですので、あとはいろいろな場合において柔軟に対応できるように訓練を繰り返し実施・検証する。そしてその中で、ここはこうした方がいいという点がありましたら順次直していかなければいけないというふうに思っているところでありまして、例えば福祉施設や公民館などに整備してきた放射線防護施設等での安定ヨウ素剤の備蓄ですとか、一時集合場所のほかに避難バスの中や、より広域的な観点からスクリーニングポイントでの配付、搬送方法、職員体制など、これからも確認・点検を図るという中で、さらにその内容の高度化を目指していきたいと思っているところであります。  次に、緊急事態における府立施設の整備についてでありますけれども、これまでから本庁及び全ての総合庁舎におきまして自家発電装置を設置いたしております。ライフラインに頼れない場合を想定していくということが一番大切でありますので、どうしてもそうしたエネルギーのもと自身も備蓄をしていくという体制は必要であると思っておりますし、最近は体育館等の避難施設におきましては太陽光発電によってライフラインの回復、または重油等が届くまでの間の電源の確保等にも取り組んでいるところでありまして、こうした点ではかなり進んできているというふうに思っているところであります。  無料Wi-Fiスポットにつきましては、災害で避難された方々の安否や避難生活に役立ちます情報の入手ができるように、昨年度、本庁舎・総合庁舎を含め避難所に指定された府立施設88カ所に整備しております。そして、具体的に災害発生時にはこれらのWi-Fiスポットから全国共通の災害用統一SSIDの電波を出しまして、どの端末でも無料でインターネットに接続できるようになっているところであります。さらに、平成27年度中には府庁や嵐山公園などで平常時も無料でインターネットに接続できるサービスを開始する予定としているところでございます。  次に、自治体の業務継続計画(BCP)についてでありますけれども、一応全国平均は上回っているんですが、まだやはり低い状況が続いております。この点につきましては、とにかくすぐに小規模な市町村でも策定できるように、必要最低限の項目を抽出しました「市町村のための業務継続計画作成ガイド」を国は本年5月に策定をしておりますので、あとはトップの意識という問題で、京都府におきましても毎年開催しております首長参加のトップセミナーにおきまして、その必要性を訴えますとともに、実務レベルでも、特に地震・津波等で大きな被害を受けるおそれがある市町村を中心に専門家や京都府の担当者を派遣し、できるだけ速やかな策定を支援していきたいと考えているところであります。 6: ◯議長(植田喜裕君) 小鍛治義広君。    〔小鍛治義広君登壇〕 7: ◯小鍛治義広君 御答弁ありがとうございました。まず交流人口をふやし、そして定住人口をふやすというのは、本当に多面的な面でフォローしていかないとなかなか定住人口がふえないというのがあります。  そして、もう1つありました原発事故の発生に対する広域避難計画であります。原発事故の広域避難計画に本当に完全なものというのはあり得ません。常に訓練等を実施し、より実効性のあるものにしていただきたいと考えております。  もう1点、BCPの問題であります。これは、以前は5市町村で現在もほとんど進んでいない状態が続いていると認識をしています。BCPを策定することが目的ではなく、これを訓練につなげていくことが重要でありますので、この点も踏まえて今後より一層進めていただくよう、よろしくお願いいたします。  それでは次に、電力自由化後における再生可能エネルギーの導入促進についてお伺いいたします。  京都府においては「京都府再生可能エネルギー導入等の促進に関する条例」が制定され、来年4月には一般家庭までの電力の全面自由化が実施されます。そういった中、全国各地で再生可能エネルギーの導入に向けて、太陽光、バイオマス、小水力発電などを利用した地域密着型の電力に関する新規事業体の設置が相次いでいます。例えば、三重県の松阪市ではバイオマス発電を軌道に乗せ、100人以上の新たな雇用に結びつけていると聞き及んでいます。今後、地域密着型の発電・供給で重要なことは、持続可能な電力の地産地消とともに地域にお金を生み、循環させ、雇用につなげていくことで地域で持続可能な産業として根づかせていくことであると考えます。  そこでお伺いいたします。府においては2020年度を目標に再生可能エネルギーの導入促進により、府内の総電力の12%を地域独自の再生可能エネルギーで賄うこととしています。しかしながら、地元の合意形成や参画、利益の循環などを含め、非常に時間のかかる取り組みと考えていますが、どのように実現をされようとしているのか、お聞かせください。  次に、スマートシティの取り組みについてお伺いいたします。  現在、関西文化学術研究都市では国内外の自治体や企業との連携のもと、先進技術によるHEMS(へムス)や電気自動車のカーシェアなどを利用したスマートシティづくりが進められており、9月には「スマートシティ・グローバルネットワーク」が設立されました。これらは今後、エネルギー、健康・医療などの地域課題をICTで解決する事業と連携することとなっています。関西文化学術研究都市は提言、構想から約30年を経て、いよいよ次のステージにおいて、これまでの産業集積と研究成果を生かして新たな産業の創出を図るとともに、京都府域全体への展開に大きな期待がかかっていると認識しています。府下の各地域はそれぞれにさまざまな課題があります。とりわけ超高齢化社会を迎え、医療分野における課題は大変深刻であり、今後ICTが課題解決に大きく貢献できるものと考えます。  そこでお伺いいたします。けいはんな学研都市でのスマートシティの取り組みにおいては、今後、府域全体にも展開していくべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、農林水産業のICT化について伺います。  農林水産業のICT化は、これまで熟練の生産者が勘と経験に頼っていた技術やノウハウなどの暗黙知を数値化・可視化することなどで生産性の向上が可能となり、大いに期待されるところであります。  現在、府が取り組んでいる宇治茶のためのICT化では、茶園における温度や土壌の水分などの管理、環境情報などを数値化することなどで、茶葉に覆いをする最適なタイミングと期間や収量予測などが判断できるようになります。さらに害虫の発生する時期の温度や湿度などの情報を蓄積すれば、どの時期に駆除すればよいのかもわかるようになり、生産性向上とともに、より短期間に担い手に技術を伝承できるという効果が期待されているところであります。  生産という中でICT化されたノウハウは、あらゆる地域で展開することができるようになるとともに、消費者ニーズなどと結びつけることにより、的確で迅速な新商品の開発やマーケットを海外まで広げる輸出など、さまざまな展開が可能となります。そして、そのことにより、生産量の増加、新規起業の支援など、好循環を生み出すことが期待されているわけです。  しかしながら、ICT化で重要なことは、いつまでに最終どこまでやっていくのかを決めて取り組みを進めないと、本来のオープンでダイナミックな結果を得ることができないということです。  そこでお伺いいたします。まず、現在取り組みがスタートした宇治茶生産技術のICT化については、さきに述べた事例を踏まえ、現地にて実証するとともに他の地域での実用化も非常に重要と考えます。例えば農業に関して言えば、企業誘致で現在あきがある北部地域などで植物工場や従来型ではあるがICT化された宇治茶の生産などによるスマートアグリを導入し、スマートビレッジと融合させた新時代の農業エリア構築なども考えられます。こういったことを踏まえた京都府の農林水産業におけるICT化に関して、中期的にはどのような政策展開を考えておられるのか、知事の御所見をお聞かせください。  次に、林業のICT化についてお伺いいたします。京都府においては来年度をターゲットイヤーに「森の京都」としての取り組みが進められています。京都府の森林面積は府域の約75%を占め、50年生以上の人工林が増加し資源が充実するとともに円安が進み、国産と外国産の材木の価格もほぼ同様となってきています。こういった状況を踏まえれば、森林面積が多い京都府として宝の山ともいうべき林業にさらに力を入れる絶好の機会と考えます。  現状、林業を取り巻く環境はICT化により大きく変化しており、1つには航空レーザー計測技術があります。これは航空機に搭載したレーザー観測測定装置とGPS衛星などにより、ある一定の範囲内で一本ごとの樹木の太さ、高さや種類、そして地形・地理情報などが計測できるようになっています。この測定を実施すれば、これまで森林を面積でしか把握できていなかった情報が、一本一本の樹木の管理、つまり詳細な森林資産が把握できるようになります。さらに、それらの情報を活用すれば、需要に応じた計画的な出荷や木質バイオマス発電の効果的な運営、地籍調査などでの利用が期待できるのであります。現状、この取り組みは佐賀県、長野県全域で行われており、京都では京丹波町が実施していると聞き及んでいます。しかし、各市町村で今後この測定が進むならば、府として全域で実施したほうがトータルコストも安く済むと考えます。  そこでお伺いいたします。来年度には京都において全国育樹祭が開催される予定となっています。それを機に、さきにも述べた事例などを踏まえ、府として航空レーザー計測を含む川上から川下までのトータルな林業のICT化に大きく踏み切るべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。  最後に、京都における相次ぐ未成年者の大麻使用事件についてお伺いいたします。  これまで京都府としても薬物乱用防止対策に関しては条例を制定するなど取り組みを進めてきましたが、11月10日には小学6年生の男子が大麻の吸引を認めた報道があり、翌11月11日には、その兄の高校生が大麻所持の容疑で逮捕されたとの報道がありました。薬物使用の低年齢化はスマートフォンやパソコンにより、容易に入手できる環境状況になっていることは危惧すべき点であります。こういった状況を踏まえ、公明党京都府議会議員団は去る11月16日に京都府と府教育委員会、そして警察本部に対し、青少年を対象にした薬物使用の実態調査と小・中学生、高校生らを対象にした薬物乱用防止教室の開催などを求める緊急要望書を提出いたしました。  そこでお伺いいたします。今回の事件に関して京都府はどのように受けとめられているのか、また今後、オール京都での早急な対応策の構築をどのようにお考えか、知事の御所見をお聞かせください。 8: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 9: ◯知事(山田啓二君) 再生可能エネルギーの導入促進についてでありますが、再生可能エネルギーの導入は地球温暖化対策の推進、そして自立・分散型エネルギーの拡大のみならず、雇用創出ですとか地方創生の面からも重要な取り組みであるというふうに考えております。平成24年度(2012年度)に固定価格買取制度が開始されておりまして、一遍に太陽光発電は進みました。そのときは京都府内で約7万キロワットだったのが、今は30万キロワットと4.3倍にもふえているわけでありまして、その点から申しますと、かなり充実してきたのではないかと思っております。  しかしながら、これからもう1段階、今、固定価格買取制度自身も下がってまいりましたし、その中でどうやってこの再生可能エネルギーを導入していくか、そして小水力やバイオマスなど多様な資源も活用できるかということが今、課題になっているというふうに考えております。  このために京都府では、再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例をこの7月に制定いたしまして、蓄電池などを組み合わせた効率的・自立的な太陽光発電設備の家庭・事業所への導入を積極的に支援する、地域での再エネ導入をコーディネートする人材の育成や専門家による技術的アドバイスにより小水力などの多様な再エネ導入を推進するという2本立てで、今、取り組んできているところであります。  さらに、これからの電力自由化も見据えまして、ドイツで取り組まれているようなエネルギー供給や公共サービスを担う地域密着型の事業体というのがありますけれども、こうしたものを参考にいたしまして、市町村やエネルギー事業者等と一緒に新たな地域で地産地消型のエネルギー供給体制につきましても国とも連携をしながら話を進めていきたいと思っているところであります。こうした取り組みによりまして、エネルギーの自立と災害等にも強い供給体制を確保いたしますとともに、地域内における雇用創出や経済の好循環も促進していきたいと考えているところであります。  次に、スマートシティの取り組みの府域展開についてでありますけれども、情報通信技術(ICT)は今、急速に発展を遂げておりまして、これがなくては我々もなかなか暮らし自身が成り立たないというところまで来ている。そしてその中で、インターネットにあらゆるものがつながっていくというインターネット・オブ・エブリシング(IoE)の時代に今、突入をしてきているというふうに思っております。こうしたIoEは自動車の自動運転や外出先からのスマートフォンによる家電の操作ですとか、本当にいろいろな面で私たちの生活を楽にしていくのですけれども、一方では、個人情報の問題ですとか非常に複雑になってくるだけに中小企業あたりがうまく利用できるかとか、こうした問題が存在をしております。そうした解決に向け、幅広い分野の技術融合や新しい研究開発を推進するため、けいはんな学研都市では先端的な基礎研究の蓄積と産学官の緊密な連携、さらには住民参加のもとで実証事業が行えるという環境を生かして、エネルギーやヘルスケア、モビリティーなどの分野を中心に全国のモデルとなるようなスマートシティづくりに取り組んでいるところであります。  その中で、例えば「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の成果を活用して、学研都市内では1,000戸を超えるスマート住宅、700世帯の年間電気使用量を発電するメガソーラーの設置が進みますとともに、HEMSの機器や燃料電池等の府域全体への導入も進めております。  また、健康医療分野では400人を超える住民参加のもと、生活習慣病等の予兆を発見するヘルスケアシステムの実証ですとか、また今、大学と企業が日常生活の中で無意識に健康状態を計測できるシステムの実証に取り組むとか、さまざまなものが取り組まれておりますし、障害者や高齢者を補助する生活支援・医療介護に活躍するロボットの開発なども進んでおります。  今後はこうした成果や技術を統合化して、さまざまな先端技術とネットワークで結ぶことにより、スマートシティをセカンドステージへ持っていけたらなと思っているところであります。このため、先ごろ設立しましたスマートシティ・グローバルネットワークをプラットフォームといたしまして、連携協定を締結した海外の都市やサイエンスパークとも連携を深めて、ヘルスケアシステムであれば地域包括ケアシステムの中に組み込んでいくなど、参画していただいた自治体の具体的な課題解決に向け、企業等と協働して成果を生み出していきたいと考えているところであります。  次に、農林水産業のICT化なんですけれども、今御指摘がありましたように、ICT化によりまして、いわゆる匠の技とか本当に熟練の方のノウハウを安定的に数値化して、次の世代に継承できるというのはICTの大きなメリットではないかと思いますし、栽培環境の最適化、ビッグデータを使って生産性や品質の向上にも役立てることができる、そして施設や機械を遠隔操作することによって省力化もできるといった点がICTのメリットだろうと思います。  さらには生産と消費の双方向のマッチングなど、新しい流通のイノベーションも期待できるというふうに思っておりまして、現在、学研都市やKICKにおきましては企業と連携し、最先端の次世代型植物工場での栽培研究を進めておりますけれども、ここが情報通信研究機構と連携協定を締結して、ワイヤレスネットワーク技術などの新しい農業分野での活用について研究を進めております。さらに9月定例会でお認めいただきました補正予算も活用いたしまして、そうした研究機関や大学と連携して、茶園の中の温度や茶の成分を計測するセンサー等を活用した匠の技術の数値化ですとか、被覆や収穫管理の適期予測モデルの開発にも着手をしているところであります。  また、水稲ではスマホ画像を活用して肥料の必要量を判断する技術も開発しているところでありますし、直売所でのPOSシステムの導入ですとかネット販売といったような、これからさらにICTを使った農業の活性化に取り組んでいきたいと思っております。「京のスマートアグリプロジェクト(仮称)」という形で今、計画を練っておりまして、こうした点をしっかりと京都全体の農林水産業の発展につなげていきたいと思っております。  次に、林業ですけれども、航空レーザー計測については詳細な地形情報や立木の情報は把握できるのですが、ただ木の曲がりなど用材として利用可能な品質かどうかまでは判別できないということと、やはりコストの問題があるというふうに考えております。ですから今、まだ京都府の森林情報システムでは森林簿とか森林図の電子データ化ですとか、林業経営高度化センターによって、大口需要先との生産情報の集約といったようなところを取り組んでいるんですけれども、将来的には必要な木の樹種、サイズ、希望価格を入力すると、そこに候補がありますよ、そしてその場合の費用や納期などはこのくらいですよというようなオンライン取引などが考えられますので、そこまでにレーザーシステムの精度を上げていくとかなり使えるのではないかなと思っておりますので、今はそういった面では、まだこれからの検討、研究の材料として考えていきたいと思っているところでありまして、これは私どもだけではできず、木材の生産・加工・流通にかかわる多くの企業の参画が必要でありますので、そうした点も高度化センター業務などを活用いたしまして、その取り組みのこれからのあり方を検討していきたいと考えているところであります。  次に、未成年者の大麻使用事件についてでありますけれども、小学生という点については大変ショックな話でありました。私どもも特に危険薬物については全国一厳しい条例を制定して、ある面でいくと府内から追放するという形ができていたと思ったら、またこういう事件が起きてくるということに暗たんたる思いを持ったのが現実であります。  今回の事案を受けまして、教育委員会や京都府警などと連携し、今までの取り組みも点検をしましたけれども、府内の高校のうち、薬物乱用防止教室の未実施がまだ2割あるということとか、喫煙がそもそも大麻使用のきっかけとなったということや、小学生向けの教材とか対策がそこまでという思いがあったと思うんですけれども、まだできていないといった点などの課題が明らかになってまいりました。  対策としては、未然防止のための教育、そして監視取り締まりの徹底、薬物乱用を許さない社会づくりという3つのフェーズが必要だというふうに思っておりますけれども、この未然防止のための教育については、教育委員会においてもう一度教室の実施の徹底、そして内容のしっかりとした踏み込み、こうしたものについて学校にこれから着手するように指示をされているところでありますし、また大麻について正しい知識の習得を図るために検討会を立ち上げまして、教材の改訂にも着手をしているところであります。  取り締まりの徹底につきましては、容易にこうした薬物が入手できないように京都府警と緊密に連携し、インターネットの監視や取り締まりの強化、薬物事犯の早期発見・早期検挙、そして家族や使用者からの相談について、「少年サポートセンター」や「きょう-薬物をやめたい人-のホッとライン」などで、きめ細かな相談体制をつくり上げるというふうにしております。また、薬物乱用を許さない社会づくりにつきましては、これまでからPTA、青少年団体、業界団体など150以上の団体から成ります「きょうと薬物乱用防止行動府民会議」におきまして、さまざまな啓発活動、セミナー、ポスターの制作、掲示などについて行っていただいておりますけれども、さらにオール京都体制で府民啓発に取り組み、しっかりとした機運の醸成に努め、こうした薬物乱用の防止に向けての取り組みをオール京都で行っていきたいと考えているところであります。 10: ◯議長(植田喜裕君) 小鍛治義広君。    〔小鍛治義広君登壇〕 11: ◯小鍛治義広君 御答弁ありがとうございました。まず、スマートシティの取り組みについてですが、今後、地域包括ケアなど幅広い分野で取り組みが進み、各地域での課題が解決できるよう願うものであります。  また、非常に積極的な御答弁をいただきました農業の「京のスマートアグリプロジェクト(仮称)」も今後の課題点も多くあるかと思いますが、本当に大きく期待されています。特にICTの活用に必要なものは、熟練の方が持たれている暗黙知をどうやって数値化するかということだと思います。このICT化をすることというのはコンピューターなどを使ってオープンな結果を得る前に、まずその人たちが持っておられる熟練の技とか技術をオープンな心にして使用しなければならない、こういったことが非常に重要であると考えます。  現在、世界では抹茶がブームになっています。抹茶は特にタイの国で非常に大きなブームを起こしていると聞いております。京都の宇治の茶研(茶業研究所)の研究、そしてICT化によって、例えばタイで宇治茶のいろいろなつくり方、技法を展開したり、またタイと言えばシルクがあります。そして京都には蚕、繭があります。そういったものも技術提携をしていったり、そういったものから消費の拡大、こういったものも期待できるというふうに私は考えます。  最後に、未成年の大麻使用及び薬物の乱用防止でありますが、非常に大変な事件となりましたが、今知事からも御答弁がありました。オール京都で薬物乱用の防止に取り組んでいただくようお願いを申し上げまして、私の代表質問とさせていただきます。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手) 12: ◯議長(植田喜裕君) 次に、林田洋君に発言を許します。林田洋君。    〔林田洋君登壇〕(拍手) 13: ◯林田洋君 自由民主党の林田洋でございます。我が党の議員団を代表いたしまして、あらかじめ通告いたしております諸点につきまして、山田知事並びに関係理事者に質問をさせていただきます。久しぶりの代表質問となりますので、御答弁につきましてよろしくお願いいたします。  まずは12月補正予算案につきまして、考察と所見を申し上げたいと存じます。  今定例会には、森林の機能を維持するための対策に必要な財源とするための新たな税である豊かな森を育てる府民税に関連する条例の制定とともに、この新しい税について、府民の皆様方に対して御理解を深めていただくための予算が計上されております。既に7月の府議会において決議されているところですが、土砂災害の防止や水源の涵養などの森林の機能を維持することは大変重要なことであり、森林整備のための財源として、新たな税の導入はやむを得ないのではないかと考えるところであります。  私からは後ほど、府内産木材の利用促進対策等の関連質問をさせていただきますが、府民の方々にその趣旨を十分に御理解いただくためには、行政としての啓蒙・啓発努力が求められていると考えており、当該予算が効果あるものとして執行されることを望むものであります。このほか、TPPの影響調査や来年度に開催を控えた全国育樹祭の準備に係る債務負担行為など、いずれも次年度以降を見据えたものであり、今回の補正予算案の上程につきまして、会派を代表し評価するものであります。  それでは、質問に入らせていただきます。  まずは、平成28年度当初予算編成方針がさきに発表されたところですが、その内容についてお伺いいたしたいと存じます。  その前に今年度の当初予算について振り返りますと、災害からの安心・安全の確保、地域経済の活性化、京都の未来への創生の3つの柱への重点投資を中心として、国の経済対策に関する補正予算も活用しながら14カ月予算として編成されたところであります。歳入面では、府税収入は消費税の引き上げ等により310億円の増が見込まれるものの、ピーク時には遠く及ばないという厳しい歳入見込みの状況にありました。一方、歳出面では、社会保障費等の義務的経費が増加するという厳しい状況にある中で、「府民満足最大化・京都力結集プラン」に基づく行財政改革に取り組みつつ、創意工夫を凝らす中で予算が編成され、現在その適正執行に努められているものと考えております。  こうした経緯の中で、来年度の当初予算編成方針が示されたのでありますが、その内容を見ますと、緊急課題への対応や地域創生の新たな事業展開などに積極的に取り組むとされており、府民の安心・安全と府域の発展につながる予算が組まれるものと大きな期待を寄せているものであります。  国におきましては、来年度予算の概算要求段階では、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額については今年度と同水準を確保するとしながらも、国家財政の健全化を図る中で地方財政計画の歳出特別枠を見直すという動きも見られておりますので、ここはひとつ、全国知事会の会長でもある山田知事に一踏ん張りをしてもらわなければいけないなと思うわけですけれども、来年度の府政運営への影響も懸念されるところであります。  そこで山田知事にお伺いしたいのでありますが、来年度の当初予算の編成方針の策定に当たっては、「明日の京都」に示された長期ビジョン、中期計画等を着実に具現化することを基本とされたものと考えておりますが、特に来年度の府政運営において力点を注いでいきたいとされる基本的姿勢とその思いについて、お伺いしたいと存じます。  あわせて、当たり前のことではありますが、政策遂行に当たっては、その財源をどう確保していくかということが非常に悩ましいところと考えるのでありますが、本府の歳入の大宗を占める府税収入の見通しについてもお伺いしたいと存じます。  次に、さきに解散された森と緑の公社についての評価と府内産木材の需要拡大対策について伺います。  森と緑の公社、すなわち社団法人京都府造林公社につきましては、平成27年3月31日をもって解散の手続が完了したと伺っております。この公社が設立された当時は、国産材の需要も多く、また林業従事者の後継者育成や荒廃する林地の環境保全が急務であったこと、またその後の社会経済情勢の大きな変化もあり、大変な状況であったことは十分理解しているところであります。  そのことを前提でお伺いするのでありますが、結果として、清算時には利子負担分が軽減されたとはいうものの229億円という多額の債務が発生し、府民の皆様方に多大な御負担をおかけしたという現実があります。府民の皆様方の立場から見れば、「多額の税金や債務の支払いに使われ、一体、公社は何をしてたんや。府はどういう指導をしてきたのか」というマイナスの評価しか見えてきていないのであります。  山田知事におかれては、設立から解散までの当該公社の事業運営や活動について、どのように評価・総括されておられるのか、まずお伺いしたいと存じます。あわせて、府内産木材の需要拡大対策について、お伺いいたします。  京都府域はその4分の3が森林であります。私も今年度全線開通いたしました京都縦貫自動車道を利用いたしますたびに、沓掛インターチェンジから与謝天橋立インターチェンジまでトンネルも多く、京都府域の林地の広さを実感いたしております。申し上げるまでもなく、森林は水資源の確保や自然を荒廃から守るという環境保全機能を有しているほか、産出される国産材は、京都の神社・仏閣を初めとする文化遺産の維持・保存に不可欠なものであります。私も、和風迎賓館が京都御苑内に建設される際に、その建築技術よりも良質な国産材を含めた建築素材の確保が難題であると何度も耳にいたしました。林業経営におきましては、1本の苗木から加工可能な樹齢に至るまで、気の遠くなるほど長期にわたる育成期間を必要とし、世代を超えての地道な根気の要る取り組みが必要となります。私も府北部地域の木材産地にルーツを有し、また現在は消費地である上京区という京都文化の集積地で生活いたしておりますことから、生産者及び消費者いずれの立場からも国産材保護の必要性について強い認識と危機感を持っております。  そこで、山田知事にお伺いいたします。府内産木材の生産及び消費拡大対策について、今後の必要な取り組みについてどのように考えておられるのか、御所見を伺います。  次に、私の地元であります西陣を初めとする和装産地の振興対策についてお伺いいたします。  西陣織は、悠久の歴史の中で伝統を継承しながら技術革新を続けることによりまして発展してきたという日本を代表する製品でありまして、その生産過程におきましても「川上から川下まで」と言われる高度に発達し徹底した分業体制の中、それぞれの製造工程を担う職人さんの高い技術力に支えられた世界に誇る織物であります。ただ、その現状は、生活様式の変化によりまして、和装需要は低迷し、帯や着物の生産量は落ち込みを続ける中、平成26年の西陣織の帯の生産量は60万本と最盛期の8%まで減少し、企業数も平成26年度の西陣織工業組合の組合員数は最盛期の25%まで減少していると聞いており、大変厳しい状況が続いております。  一方、こうした現状の中で、西陣にも明るい兆しが見られるようになってきておりまして、西陣織の高い技術を室内装飾やインテリアなどのさまざまな分野に積極的に活用し、国内外へ販路拡大していく取り組みが広がってきております。室内装飾用織物やネクタイなどの広幅織物の出荷額の増によりまして、西陣織全体の生産額は、平成25年度、26年度と2年連続で増加しております。  本府におきましても、今年度の当初予算におきまして、伝統産業生産基盤支援事業費5,500万円を、また9月補正予算でも「クール京都」織物産地創生事業費7,500万円が計上され、このような前向きな事業者の取り組みをしっかりと応援していただくという時宜を得た取り組みは織物産地に希望と勇気をもたらすとともに、西陣や丹後の事業者から多くの感謝の声を聞いております。しかしながら、一方で、長らく市場の縮小が続いてきたため、その生産を支えるそれぞれの製造工程の職人さんの数の減少と高齢化が顕著となってきております。平成23年度の調査では、製織職人さんのうち60歳以上の方の占める割合は70%を超え、その割合は年々増加しております。私は、生産拡大に向けた前向きな設備投資への機運の盛り上げと、その効果を一層発揮させていくためにも、その生産を担う職人さんの確保が不可欠と考えておりますが、京都府として、こうした業界振興対策につきまして、どのような対策を講じる必要があるとお考えか、山田知事の御所見をお伺いいたします。
     昨今、こうした和装需要の低迷が続く中で、京都の町なかでは着物姿の方を見かけることが多くなりました。11月3日に上賀茂神社で開催された「西陣きもの・帯フェスティバル」には着物姿で私も参加させていただきましたが、ことしで17回目を迎えるというこの園遊会には、1,300名以上の方々が色とりどりの着物姿で参加され、市田ひろみさんのトークショーや野点などを楽しんでおられました。若い方も多く参加され、年々参加者がふえ華やかになってきており、着物に親しむ層が着実に増加しているように感じており、喜ばしい限りであります。  また、京都市内の各地の観光地では、日本の若者はもとより、外国からの観光客も着物姿で京都観光を楽しまれるという方々がふえてまいりました。市街地のあちらこちらにレンタル着物店も見かけ、外国人ツアー客が大型バスで店に乗りつけてレンタル着物を利用される例もあると聞いております。ただ、残念なことに、レンタル着物は安価なポリエステル製のものが多く、レンタル着物の需要が幾らふえても西陣や京友禅などの和装産地の振興にはつながっていないという声もあります。  私は、日本の若者や外国人旅行者の着物を着たいという意識は高まりを見せ、着物の認知度は着実に上がっているものと考えております。こうした機運を和装産地の振興に確実につなげていく取り組みが今求められていると考えるものでありますが、京都府としてどのように考え、どのような取り組みが求められているのか、山田知事の御所見を伺います。  次に、京都府立医科大学附属病院についてお伺いいたします。  京都府立医科大学附属病院は、明治5年に開設されて以来、140年を超える歴史と伝統の中で培われた医療を基礎に「世界トップレベルの医療を地域へ」を基本理念として、多くの優秀な医師や看護師等の医療人材を養成するとともに、常に京都府民の健康を守り、高度で安心・安全な医療を心がけ、診療、教育、研究の各領域において数多くの実績を残してきたという歴史は御案内のとおりであります。  特に、がん対策につきましては、高度先端医療を行う特定機能病院としての承認を受けるほか、都道府県がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院の指定を受けるとともに、大学に設置されているがん征圧センターと拠点病院である附属病院が連携し、臨床に直結する研究を一体的に行うなど、がん死亡率の減少に取り組まれてきました。また、緩和ケア病棟の整備、急性期リハビリテーションの充実、第一種感染症指定医療機関、地域災害拠点病院の指定等、その人材育成も含め、昨今の時代の要請にも対応するなど、府立の病院として政策医療・地域医療に貢献し、各領域において京都府の中核医療機関として位置づけられ、その役割は非常に重要であると考えております。  一方で、高度化する医療技術や医療提供体制を含めた医療情勢の変動への対応が求められているとともに、手術室や集中治療室等が入る中央診療棟や病棟については、昭和57年より順次整備されてきているものの、既に建築後約30年が経過し、施設の老朽化が進んでいるほか、患者さんの安全面や衛生面などを含めた療養環境の問題など多様な課題も多いと聞き及んでおります。  このため、京都府ではこれまでに府立医科大学と連携し、平成24年の「京都府立医科大学附属病院の機能強化のあり方検討委員会」や、平成25年の「京都府立医科大学附属病院整備計画検討委員会」により順次検討が進められ、昨年度からは、現在の病院が抱える問題点の解決や、今後数十年を見越した病棟・中央診療棟の改修による病棟再編を行うための整備計画を、今策定中であると聞き及んでおりますが、事業費が多額に上るほか、工事期間中の病棟の一部閉鎖や工期の長期化に伴う収益の減少等の課題も多いと伺っております。  また、昨年11月に日本電産株式会社の永守重信会長から京都府へ全国一のがん治療研究施設の整備を目的に、建物及び陽子線治療装置の現物による寄附の申し出があり、覚書を締結され、府内初の陽子線治療施設である最先端がん治療研究施設の整備が現在進められていると伺っております。この陽子線治療施設は、日本にはまだ10施設しかなく、整備予定の治療装置もがんのみに陽子線を照射することができ、治療中の痛みもなく、効果的な治療と副作用の逓減が期待され、また動く臓器にも対応できる照射技術をあわせ持つすぐれた機能を有すると伺っております。この陽子線がん治療施設と最先端の治療装置が整備されることによりまして、がん予防から診断、治療を一貫して提供することが可能となり、入院患者さんが経過措置を含めて最新の治療機器による最先端のがん治療を受けることができるようになれば画期的なことであり、多くの府民の皆様方も大きな期待を寄せておられることでございましょう。  私は、京都府立医科大学が「世界トップレベルの医療を地域へ」の理念のもとで、その力を十分に発揮できるように、京都府として環境整備に努力されていることに対し評価するものであります。  そこで山田知事にお伺いいたします。整備計画では、現在の敷地内において新たな病棟を建てることは困難なため、病棟を稼働しながら改修を行うという全国でも数少ない病棟の整備と聞いており、私はこうした整備に当たっては、整備期間中、患者さんへの影響を最小限にすることを十分に配慮していくことが大切と考えております。また、あわせて病院経営の面からは、可能な限り診療収入の確保も図っていくという姿勢を持つことも大切なことではないかと考えております。現在の府立医科大学附属病院が抱える課題の解決及び今後30年を見通した病棟や診療棟の効率的な整備、また最先端がん治療研究施設の現在の整備状況を含め、府民の健康を守る拠点として、今後どのように取り組まれようとお考えか、あわせてお伺いいたします。  とりあえず質問を置かせていただき、知事の答弁をお願いいたします。 14: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 15: ◯知事(山田啓二君) 林田議員の御質問にお答えいたします。  林田議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。  来年度の当初予算編成に向けた基本姿勢についてでありますが、京都府ではこれまでから議会にお認めいただきました長期計画であります「明日の京都」に基づき、安心の確立と交流の拡大を基軸に府政の推進に努めてまいりました。しかしながら今日、少子高齢化の急速な進展、さらにITなどのさまざまな技術の進歩、そして加速化する国際化、また東京一極集中の是正など、構造的な改革の波に直面をしておりまして、こうした変化に対応しながら地域の再生にさらに取り組むために、本年10月に「明日の京都」の理念を踏まえて、京都府地域創生戦略を策定いたしました。したがって、来年度の当初予算編成に向けましては、この戦略に基づく施策の推進に重点的に取り組みますとともに、最近の状況も踏まえまして、地域創生の土台となります経済・雇用対策や防災対策にも全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。  具体的に、地域創生戦略におきましては、「未来を拓く人づくり」として、今定例会に提案している少子化対策条例に基づく総合的な少子化対策や子どもの貧困対策、さらには女性活躍の推進などを進めてまいります。また、「地域経済の活性化と仕事づくり」として、新たな健康産業の育成や正規雇用・障害者雇用の促進、さらには「京都への人の流れづくり」として、国際観光の広域的な取り組みの推進や移住促進の仕組みづくり、また、「持続可能で魅力と活力ある地域づくり」として、ターゲットイヤーを迎えます「森の京都」や交流を支える交通インフラの整備促進といった取り組みに重点的に当たっていきたいと思っております。さらに、経済・雇用対策では、中小企業の人材不足対策やTPPの大筋合意を踏まえた農林水産業や中小企業の競争力強化、防災対策では3年連続の豪雨災害を踏まえたハード・ソフト両面にわたる治水対策に万全を期していきたいと考えているところであります。  一方、こうした施策を着実に推進するためには、「府民満足最大化・京都力結集プラン」に基づく行財政改革の着実な推進が不可欠でありまして、新たな視点での施策の見直しや府民サービスのワンストップ化、多様な主体との連携・協働推進などによりまして、一層質の高い府民サービスを提供できる仕組みづくりや持続可能な財政構造の確立にさらなる努力を払っていきたいと思っております。  府税収入の見通しについてでありますけれども、今年度につきましては、企業業績の回復や地方消費税の税率アップなどから、前年度当初予算に比べまして310億円増となります2,800億円を計上し、今、その確保に努めているところであります。来年度につきましては、主要税目である法人2税は税額のおおむね半分をあらかじめ見込みで納付する中間納付という仕組みがありますので、今年度の実績に基づく増収効果は年度内に一定先取りされてしまいますので、来年度はその影響でなかなか2年連続で大幅な増収ということにはならないというふうに思っております。ただ、経済情勢も結構、基本的には回復基調にありますので、府税収入全体としては少なくとも今年度並みは確保できるのではないかなと考えておりまして、さらなる上積みを目指して府税徴収率の向上や税源の涵養にもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  税を含む地方一般財源全体につきましては、骨太の方針2015におきまして、今後3年間は今年度と同水準を確保するとされておりますけれども、しかしながら、一方では社会保障関係経費は毎年ふえていくということを考えますと、いわば同水準の確保でいきますとかなりきついというのが現状でございます。それだけに、私どもは財源確保につきまして国に対しても積極的に働きかけ、現在、国で検討中の補正予算といったものも含めて、地域創生の実現のための14カ月予算ということも念頭に入れながら、財源をしっかりと確保してこれからの予算編成に当たっていきたいと考えているところであります。  次に、森と緑の公社についてでありますけれども、造林事業は林業振興の観点から、戦後国策として、その推進を求められたものでありまして、昭和42年の公社設立以来、解散までの49年間で約4,400ヘクタールを造林、育成してまいりました。この点については御指摘のとおりでありますけれども、整備された森林は別に全く役に立たないものではなくて、それどころか災害防止などの公益的機能は普通に見積もっても年間約130億円にも及ぶという推計もあるぐらい、府民生活の安心・安全やさまざまな効果というものをもたらしているというふうに思います。そして、その中で延べ100万人を超える雇用が確保されているなど、私は決して成果がなく、ただ赤字を積み上げてきたというだけではないと思います。逆に一番大きな問題は、将来売れば全てが返ってくるという見通しのものにされてしまい、しかも分収林契約という全く片務的な、一方的な契約でそれが担保されるという非常に厳しい状況にあった。これを改善しない限り健全な経営はできないという視点に立ったわけであります。その点から、私は知事就任後、とにかく赤字をふやさないようにするということで、新規植林の中止や保育水準を見直してさまざまな合理化を実施して、利息はいたし方ないんですけれども、赤字幅がふえないようにしてきました。こうした中で、成果と負担とが時期的に一致していないのは問題であるということを含め、他府県の例を見ながら清算というものの時期を探ってまいりました。これについては、例えば滋賀県が造林公社を清算するときも、私が先頭に立って農林省や国にも働きかけ、特別交付税の措置などを獲得してきたというような基盤づくりはしてきたつもりであります。したがって、最終的な清算額は229億円となりましたけれども、この中には49年間の公益的な部分も含まれているということは御理解いただきたいと思いますし、そして同時に、これは他府県に例はないのですけれども、先ほど申しました分収林契約という所有者負担のない極めて片務的な契約につきましては、全て1年間で改めさせていただきました。これができたのは日本で京都だけでありまして、職員の皆さんは本当に頑張ったと思います。そうした中で、将来の利子負担を65億円から10億円、特別交付税措置も含めれば5億円まで削減するという形になりまして、本当にほかに類を見ない、例を見ない形で清算できたのではないかなと思っているところであります。  今後、こうした森林の整備につきましては、今議会に提案しております豊かな森を育てる府民税の活用や「森の京都」の取り組みによりまして、基盤構築というものを念頭に置いて、これからもしっかりと行っていきたいと思っております。  そうした中で、府内産木材の生産と消費拡大対策についてでありますけれども、TPPが先ごろ大筋合意されましたが、林業分野では既に木材が自由化されておりますので、それほど影響はないと思います。逆に国産材のCLT開発が進んだり、環境問題という配慮も考えますと、私は今が底であって、これからかなり回復基調に結びつけていけるチャンスはあるんだというふうに思っているところであります。この点からいいますと、我々はこうしたしっかりとした機会を生かして府内産木材の利用を拡大する。そのために生産・流通・加工の一貫した体制を京都府内で確立する必要があるというふうに考えております。このため、生産対策では、高性能林業機械等の導入や路網整備、さらには木材ストックヤードの整備、府内産材の生産コストをこうして下げていく。また、加工施設につきましては、林業・木材産業関係団体により、本年8月に木材加工施設立地促進会議が設立されましたけれども、年内の立地表明を目指して、今、大詰めの作業が行われております。そして、川下対策といたしましては、京都府も丹波自然運動公園や茶業研究所、さらには流れ橋なども含めて、思い切った消費対策という川下対策を講じていく。そしてそれを府内の全域についても講じていきたいと思っておりまして、こういう地産地消循環型の林業構想というものをこれから推進することによりまして、府内の林業・木材産業をもう一度活性化させる。そうした取り組みに「森の京都」というものを踏まえて頑張っていきたいと思います。  次に、和装産地の振興でありますけれども、西陣や丹後では和装関連の生産量は減少が続いておりましたけれども、近年は広幅織物による洋装・室内装飾などの需要が拡大しまして、久しぶりに西陣織全体の出荷額が増加するなど、今までにない、これもようやくボトムが見えてきたんじゃないか、底が見えて来たんじゃないかという雰囲気が出てまいりました。こうした動きをさらに加速化させるために、市場ニーズに応じた商品開発や販路拡大、広幅分野などの伸びる部分を伸ばす攻めの対策と、そして分業工程による生産体制の再構築による和装関連の維持などの守りの対策、この攻めと守りの両面から、これから取り組みを強化してまいりたいと思います。  攻めの対策としましては、既に生産基盤設備への補助金により、需要の大きい広幅分野などの転換を促進いたしますとともに、国内外に販路を持つプロデューサーと連携した売れる商品開発など新たな販路開拓を支援していく。さらには首都圏や海外の百貨店との提携による販路の確保ですとか、織物を内装や商品素材として活用するBtoBマーケットへの販売強化などにより販路拡大を支援していきたいと思います。  一方、守りの対策としては、関連工程も含め、多岐にわたる業界の声を聞きながら、業界団体と行政が連携いたしまして、伝統産業生産体制再構築協議会を立ち上げ、これまで後継者の確保に貢献してまいりました伝統産業OJT事業に加えまして、複数の工程を担える多能工の育成や高齢化が進む製織職人の育成、工程の共同化などを推進していく。そして、その中で、来年度からいよいよ始まります京手描友禅専攻を開設する京都伝統工芸大学校や全国から応募者が集まっております府立陶工高等技術専門校などとも連携を強化しまして、若い人たちの志向に配慮した伝統産業全体の担い手育成にも取り組んでいきたいと考えているところであります。  次に、レンタル着物の普及を産地振興につなげる方策でありますけれども、京都の観光地を見ますと、本当にたくさんの方々が着物を着て歩いていらっしゃいまして、関心は高まっている。ただ、それが本当に需要に結びついているかというと、着ていくシーンがなかなかないですとか、価格帯が不透明だとか、着つけが面倒だとか、収納や手入れに手間がかかるといったようないろいろな課題が浮かび上がってまいります。そのために、これまでからきものパスポートの発行や古都コレクションの開催、また若い人に着物や伝統文化に触れてもらう高校生伝統文化事業などを実施してまいりましたし、着物を楽しむ層をレンタルから購入に結びつけるために、京の匠商品券の発行を契機として、初心者が購入しやすいセットを百貨店で販売するとともに、安価に購入できる着物の販売会の継続的な開催など、産地と連携した取り組みを強化しているところであります。  さらに、産学公の連携による絹にかわる素材の開発ですとか、簡単に着られる着物の紹介など、着物のハードルを下げる取り組みを行っているところでありまして、今、さまざまな着物に対する関心を何とか現実の需要に結びつけるために、オール京都での取り組みを強化してまいりたいと考えているところであります。  次に、京都府立医科大学附属病院の整備計画についてでありますけれども、今、やはり病棟の老朽化の進行ですとか、大型の機械を入れなければならない中で手術室が手狭になっているとか、病室が6人部屋で両側とも患者さんがいるような境遇というのは非常にストレスがたまると。民間では最近余りないというような状況が生まれているなど、さまざまな課題が生じているというふうに思っております。ただ、府立医科大学は、府民の皆様に最も高度で、最も手厚い医療を施しているという現実からすると、これを途切れさすということはなかなか難しいというのは御指摘のとおりでありまして、そのためにどうしても既存病棟を稼働させながらどうやって改修・整備をしていくかという点が大きな課題になってまいります。そして、改修しても、もう患者さんが入っているわけでありますから、療養環境や施設利用に配慮しなければなりませんし、その中で工期短縮や工事費縮減のための効果的な施策も考えなければならないという非常に難しい方程式を解かなければならないという形になっておりますので、今、整備手法と、そしてどういう形でそれをつくり上げるかということをあわせて検討を進めているところでありまして、もうちょっと時間をいただきたいなと思っております。やらなければならない点は、もうはっきりしていると思いますので、その点を具体的なプロセスへ落としていくという作業に入っていきたいと思います。  その中で、最先端がん治療研究施設でありますけれども、地元説明や建設予定地の整備を終えまして、この11月に本体工事が着工されたところでありまして、外からも見えるような状況になってまいりました。完成までに2年程度の期間を要し、そして試運転ですとか国の承認などの手続を経まして、平成30年度中の治療開始を予定しております。さらに、施設の運用面におきましても、必要な診断・治療機器等の整備を進めますとともに、施設を運用する人員体制の確保、育成を図るために、既に今年度から放射線技師等の人員を配置し、陽子線治療を先行して実施している施設の実地研修などの人材育成にも取り組んでいるところであります。御寄附をいただいた趣旨も踏まえまして、府民の治療費の負担軽減策の導入について、他府県の事例も参考にしながら、今後、検討を進めていきたいと思いますけれども、本当に最先端・最新鋭の機器が入ることによって、今までの府立医科大学のがんに対する知見と合わせると、まさに我が国を代表するがんの治療施設として府立医科大学がこれから大きな発展を遂げる契機になるということで、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。 16: ◯議長(植田喜裕君) 林田洋君。    〔林田洋君登壇〕 17: ◯林田洋君 御答弁ありがとうございました。京都府立医科大学附属病院でございますけれども、河原町通りと鴨川に挟まれ、大変風光明媚なところにあるということでございまして、近くには物すごく高いマンションが建つというようなことも聞いておりまして、なかなか土地の確保等が大変かなというような思いがあります。しかし、京都府立病院というと府下、全国から来られる、それも重病の方は車で来られる方も多いのではないかなと。そんな中で、駐車場の確保というのもしっかりお願いしておかなきゃいけないなと思っておりまして、これは要望とさせていただきます。  それでは次に、教育長にお伺いいたします。  本年6月17日に「公職選挙法等の一部を改正する法律」が成立し、同19日に公布されたところであります。その改正の趣旨は、近年の国政及び地方選挙における投票率の低下が続いており、とりわけ若い世代の投票率の低下が顕著で、若者の政治離れが深刻な状況にあること、あわせて若い世代の声を政治に反映させる必要があるということにあります。その内容につきましては、選挙権を有する年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げるというものであります。この選挙権年齢の引き下げは、終戦直後の昭和20年以来の実に70年ぶりとなる歴史的な改正であり、国政選挙としては来年の夏の参議院議員通常選挙が初めてとなるわけであります。  既に京都市においては、選挙管理委員会及び教育委員会がタイアップして、京都市立高校の教員等を対象とした事前研修会が開催され、若い世代に広がるインターネット、電子メール、ツイッターやフェイスブック等の電子媒体を利用した選挙活動の注意点や副教材の利用について事前学習がされたと聞き及んでおります。今回の有権者年齢の引き下げによりまして、来年18歳から19歳を迎える現在の高校2年生、3年生の生徒は約240万人に上ると伺っております。私は、こうした多くの新たな有権者の誕生が、若い世代の政治への関心を高め、ひいては投票率の向上の契機となることに大きな期待を寄せているものであります。若い世代の方々の投票率向上を図るためには、学校教育の果たす役割は非常に重要であります。学校において、選挙の意義やルール、投票の仕組みといった基本的な知識を教えることはもとより、主権者として民主主義を理解し、政治への関心や参画意識の向上、さらには投票意欲を高める、いわゆる主権者教育の充実を図るための取り組みを早急に進める必要があると考えております。  一方で、これまでから教育現場に政治を持ち込むことへの抵抗感から「現実の具体的な政治的事象を扱うことに消極的になり、生徒に対する十分な主権者教育が行われていない」という指摘も聞き及ぶところであります。私は、新たに有権者となる高校生が、学校教育の中で現実の政治に触れて考え、伸び伸びとした自由闊達な議論を行い、生徒みずからが判断する力や、政治に参画しようとする意欲・態度という政治的教養を身につけることこそが主権者教育のあるべき姿と考えるのであります。  今回の法改正を契機に、選挙を通じた政治活動がより身近なものとなった高校生に対し、府の教育委員会では主権者教育をどのように実践されようとしておられるのか、まずお伺いいたします。  加えて、主権者教育の取り組みについては、いかに政治的中立性を確保するかという重要な課題があります。報道によりますと、去る6月に山口県の県立高校において、授業の中で実施された安全保障関連法案に関する模擬投票において、中立性が不十分であったとして県教育長が議会で陳謝するという事象があったと聞き及んでおります。その内容は、授業の中で、法案への賛成、反対でグループに分かれて議論し、どの主張に説得力があったかを問うという形で模擬投票を実施したというものであったと聞き及んでおります。県議会での指摘では、「投票の参考資料として配付された新聞が2紙のみであったため、政治的中立性に疑問を感じる」とされたのでありまして、県教育長は「学校に対する指導が不十分であった」とされた上で「主権者教育に積極的に取り組むとともに、政治的中立性が保持されるよう資料の選定や授業の進め方の指針を学校に示す」といった趣旨の答弁をされたと伺っております。  教育基本法では、学校における政治的中立性を確保するため、教育内容に一党一派に偏った政治的主義主張の持ち込みや学校が政治的活動の舞台となることを避けるため、学校教育における党派的政治教育の禁止規定が設けられているのであります。  こうした他県の事例を踏まえて、京都府の学校現場において、政治的中立性を確保しながら主権者教育を積極的に実践していくために、どのような対策が必要とお考えか、あわせてお伺いいたします。  以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 18: ◯議長(植田喜裕君) 小田垣教育長。    〔教育長小田垣勉君登壇〕 19: ◯教育長(小田垣勉君) 林田議員の御質問にお答えをいたします。  政治的教養を育む教育、いわゆる主権者教育についてでございますが、府教育委員会では、児童生徒の発達段階に応じまして、人や社会とつながり、共生していくための力を身につけさせることを目標に、平成25年度から法やルールに関する教育を推進しているところでございます。今年度はその一環といたしまして、主権者教育の先導的な役割を担う府立高校3校を研究指定校とし、議会の傍聴や議員の方々との懇談会等を通しまして、実際の政治に触れる体験的な取り組みや選挙管理委員会との連携による模擬市長選挙や模擬投票を活用した授業を行っているところでございます。また、これらを他の府立高校の教員に公開するなど拡大を図っているところでもございます。今後は、これまでの実践を踏まえまして、身近な地域の課題を多面的・多角的に考察し、地域住民として社会参画意識を向上させ、有権者としての自覚を高める取り組みを進めてまいりたいと考えております。  そのため、主権者教育に係るプロジェクト会議を設置いたしまして、京都府の指導指針を作成するほか、具体的政策をテーマにした調べ学習やグループ討論をもとにしました選挙公報を作成する等の実践例をまとめました事例集の作成に取り組んでまいります。また、各府立学校では、主権者教育に係る学校の指導計画を作成し、公民科の授業に加えまして、特別活動や総合的な学習時間を含めまして、学校の教育活動全体の中に適切に位置づけて取り組むことといたしております。  次に、政治的中立性の確保についてでございますが、主権者教育の実施に当たり、教員が個人的な主義主張を述べることを避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導することは当然であり、関係法令を踏まえました対応がなされるよう指導してまいります。  府教育委員会では、府選挙管理委員会と共催をいたしまして、全ての府立学校の管理職及び授業を担当する教員を対象に会議を開催いたしまして、公職選挙法及び文部科学省通知、文部科学省・総務省作成の副教材の活用方法につきまして徹底を図るとともに、出席者相互の情報交換を進めているところでございます。この中で、新聞等の教材の取り扱いやグループ学習の進め方等の留意点につきまして具体的な事例を確認し、各学校において適切に取り扱われるよう徹底しているところでございます。  府教育委員会といたしましては、こうした学校の取り組みに対する家庭の理解を進めるとともに、地域の関係団体との連携・協力も図りながら主権者教育の充実に努めてまいります。 20: ◯議長(植田喜裕君) この際、暫時休憩いたします。  なお、午後3時10分を目途に本会議を再開いたします。    午後2時50分 休憩            ────────────────────    午後3時12分 再開 21: ◯議長(植田喜裕君) 休憩前に引き続き会議を行います。  次に、上原裕見子君に発言を許します。上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕(拍手) 22: ◯上原裕見子君 日本共産党の上原裕見子です。日本共産党府会議員団を代表して質問いたします。  アベノミクスが3年を迎えようとしていますが、内閣府が示した7月から9月期の実質国内総生産は2期連続マイナスとなりました。どのマスコミも「設備投資も伸び悩み、個人消費も力強さを欠き、日本経済に寒風が吹いている」と報道しました。大企業のもうけのほとんどが内部留保に回り、安倍政権下の2年間では38.4兆円ふえて301.6兆円となっています。京都の大手企業10社では6兆円を超えるほどに上っています。一方で、中小零細企業は、京都市内では7月から9月の企業景気DI値は全産業で0.5ポイント低下し、府内全体でも足踏み状態です。知事は9月議会で、我が党の迫議員の質問に対し「おおむね緩やかな回復基調にある」と答弁されましたが、大企業が利益をふやしても中小企業は恩恵を受けず、消費は落ち込むことがはっきりしたのではないでしょうか。伏見区の機械金属加工を34年されている方は、「リーマンショックの後、回復し切らないまま今日に至っている。今はCADを使えば熟練工でなくても大量生産ができる時代となった。だけど、うちに来る注文は半導体の研究をしている企業からなどで、よそが嫌がる1個2個の難しい仕事ばかり。だが、単価は下がったまま」と言われました。熟練の技術者や職人が安い工賃で仕事を受けざるを得ない状況にあります。  京都府商工団体連合会が実施した景況調査では、昨年より6割近くの業者が「売り上げが減った」と回答し、厳しい景気状況の中で税金や社会保険料を期限内に支払うことができず、滞納している事業所まで出ています。また、消費税分を転嫁できない業者は3割以上もあり、家族5人で呉服の製造卸をされている業者は、「消費税が8%になって赤字に転落した。10%になれば商売は成り立たない」と言われました。勤労者世帯では、実収入は1年前に比べ、物価上昇分を差し引いた実質で1.6%減少しています。消費者物価指数もこの9月、2カ月連続マイナスとなり景気の減速は明らかです。日銀は物価上昇目標2%にするとの達成時期を2016年度後半にと、2度も延期をしています。こうした中で、2017年に消費税を10%にするとしていますが、増税されれば消費は減り、ますます景気が悪化する悪循環になります。金融緩和や財政出動、円安を進め、株価を上げて大企業の利益をふやせば、雇用や賃金がふえて消費がふえ経済が上向くというトリクルダウン論は破綻し、アベノミクスは間違いであったことが鮮明になっています。大企業中心ではなく、中小企業への支援こそ必要だと思いませんか。知事の認識をお伺いいたします。  また、国に対し、消費税増税を中止するように求めるべきですが、いかがですか。お答えください。  地域経済活性化のための具体策として、全国624自治体で実施されている住宅リフォーム助成制度ですが、山形県は住宅リフォームなど総合的な住宅対策をしています。県産木材の利用促進、人口減少対策の推進、県内の中小企業振興など、事業目的をはっきりさせています。当初は3年間の予定でしたが、好評であること、経済波及効果が大きいので延長されています。府内でも伊根町で2億3,000万円、京丹波町で335件2,431万円の住宅リフォーム助成事業が行われており、地元業者への仕事おこしや地域経済への波及効果が大きいと歓迎されました。  また、中小企業の経営安定と労働者の賃金底上げに資する公契約条例は、全国で35自治体が条例や方針を決めています。その結果、賃金に下限が定められているため、余計なコストを避ける傾向にあり、地元への発注が生まれていると言われています。東京都多摩市が事業者にアンケートをとったところ、70%以上の事業者が「適正な労働条件の確保、労働者の生活の安定に結びつく成果があった」と回答しています。また、「時給単価の上昇により労働意欲が向上し職場定着率が上がった。以前に比べ、生活は向上している」と答えています。  本府でも、労働者の賃金・労働条件の確保、行政の発注する事業の質の確保、府内中小企業の受注機会の確保など、地域内循環型経済の仕組みをつくることが必要ではないでしょうか。そのためにも、まず経済波及効果の大きい住宅リフォーム助成制度や、雇用の安定と地域経済の活性化を図る賃金条項を定めた公契約条例を制定することが重要だと思いますが、いかがですか。  また、2014年に小規模企業振興基本法が制定され、5人以下の事業所を対象とし、小規模事業所が地域経済の支え手として、また雇用の担い手として大きな役割を発揮していることに着目し、事業の持続的発展を支援する施策を国・地方公共団体などが連携して講じるよう求めています。全国では地域社会の貢献などを盛り込んだ中小企業地域振興基本条例が35の道府県で制定され、最近では兵庫県が制定をしています。  府が行ってきた中小企業経営安定化等支援事業は非常に喜ばれていましたが、府は廃止をしました。電気代や消費税増税に苦しむ中小企業に対して固定費補助などを行うべきではありませんか。そして、切れ目のない支援ができるように、小規模企業振興基本法制定の理念を盛り込んだ中小企業地域振興基本条例をつくるべきと思いますが、いかがですか。  次に、TPPの大筋合意での農林水産分野についてお伺いいたします。  TPP交渉が10月5日、アメリカのアトランタの閣僚会合で再三の日程延長の上、大筋合意となりましたが、概要や各分野への影響が小出しに発表されるだけで、まとまった説明はありません。安倍政権がTPP交渉に参加した際の国会決議は、交渉によって収集した情報は国会に速やかに報告し、国民に十分な情報提供を行うよう求めていました。合意の全体を明らかにすることこそ政府の責任ですが、臨時国会も開催されようとしません。今わかっている関税については、日本の全品目9,018品目の撤廃率は95%にも及び、農林水産物も81%は撤廃となります。関税撤廃の対象にしないとしていた重要5品目も国会決議に反し3割関税撤廃となり、米についてはアメリカ7万トン、オーストラリア8,400トン、合計7万8,400トンの特別枠を設け無関税で輸入する。さらに、MA米77万トンの中に米国枠を現行枠に加えて、さらに6万トンを上積みするという、まさにアメリカ産米優遇の措置をとっています。  府は庁内会議を開き、11月2日には農林水産分野の府内業界団体と情報交換会を開催されました。参加された関係者からは、影響がわからずに不安を抱えているので丁寧な説明を望む声、関税撤廃のマイナス影響を補う価格保障対策を求める声や、「政府の情報が不足している。情報公開を求める」との意見もあったと報じられています。生産者だけでなく消費者の立場で、「TPPによって世界で一番の食の安全基準を後退させないように」との強い要望が出されたとのことです。遺伝子組み換え表示の変更やポストハーベストの容認など、食の安全、国民の命・健康がむしばまれるというようなことは絶対にあってはなりません。  京都府内の農業関係者にお話をお聞きしましたが、「府の農業政策体系が崩れるのではないか。土台が崩れるので補填とかでは間に合わない。転作したけれどどうするのか。競争力のある経営体をつくって海外へと言うが、販路もなく成り立つのか」、中には「余力のあるうちにやめたい」との声もあり、不安が広がっています。TPPが動き出せば、特産の茶、京野菜なども影響を受け、米、畜産では深刻です。米価の一層の下落のもとで、今地域で中心になっている中核的な農家が展望を失って営農をやめてしまい、預かっていた大面積の農地が宙に浮く、耕作放棄地が激増するといった新たな事態が起こりかねません。今まで経験したことのない新たな課題・困難に直面すると推測されますが、府が国へ提出した要望書でも、全国知事会の要望でも、県ごとの影響調査を行い、公表を国に求めています。国の影響調査も必要ですが、府が独自の影響調査を直ちにするべきではないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。  共同通信社が全国の知事、市町村長に賛否を聞いたアンケート調査では、「反対」が15県で36.9%、「賛成」は4県で23.0%と「反対」が大きく上回っています。あとは「どちらとも言えない」でした。京都府全体としては「どちらとも言えない」となっているのですが、知事は反対の意思はないのですか。アメリカなど他国でもTPPに反対する意見が数多く上がっています。国の形を変えるTPPから撤退すべきと考えますが、知事の認識をお伺いいたします。  次に、京都府が2018年に向けて策定中の地域医療構想について伺います。  2025年の医療需要とベッドの必要量を推計し、医療機能の分化と連携を推進するというものですが、国のガイドラインによる推計では、例えば中丹2次医療圏では現状の25%に当たる562床が過剰、丹後では329床、27%の過剰、京都府全体でも高度急性期及び急性期が5,141床も過剰とされるなど、ベッド数の大幅縮小につながりかねないものになっています。しかも策定された地域医療構想は、今後の医療費適正化の目標の基準になるのです。医療費抑制のために地域医療を切り捨てるような計画にしてはなりません。  そこで具体的に幾つかの点をお聞きいたします。  国のガイドラインでは、医療機能ごとに一律の病床稼働率が設定されており、稼働率が低い地域ではベッドの削減や転換が求められることになります。しかし、これまでも医師不足に悩んできた府北部地域などでは、そのことによってベッドの稼働率が下がっているのが実情です。ガイドラインに従えば、医師不足に合わせてベッドを減らすという悪循環に陥ることになります。この間も、常勤医の退職によって舞鶴共済病院の血液内科が一時休診となり、舞鶴市内で血液内科を掲げる医療機関がなくなりました。京丹後市では、弥栄病院から小児科の常勤医がいなくなったため、産科はあってもリスクの高いお産ができない状況になっています。広大な面積を抱える丹後・中丹地域で、脳卒中の急性期医療を担えるのは1カ所だけという状況も放置されたままです。こうした現状を打開するためにも、実態に合わないガイドラインによる推計によらずに、本府として実態に合った推計をし、必要な医療を確保する体制の充実を図るべきだと思いますが、いかがですか。  また、政府が進める病床削減は、比較的軽度とされる医療区分1の患者を短期間で在宅に返すことを前提にしています。しかし、在宅療養を支える体制も決して十分とは言えません。それは過疎地域に行けば行くほど一層深刻です。京丹後市では、広大な市域に訪問看護ステーションが4カ所しかなく、往診も訪問看護も対応できない地域が残されています。綾部市でも開業医の高齢化が進み、往診ができる医療機関は5カ所しかないとお聞きしました。こうした状況を無視し、患者を病院から追い出すようなことは許されません。回復期、あるいは慢性期の病床もしっかり確保し、安心して療養できる体制を保障すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  さて、問題の背景には、安倍政権による乱暴な医療費削減圧力があります。今後の経済財政運営の基本方針として、6月30日に発表された骨太の方針2015には、この3年間で社会保障費の自然増を9,000億円から1兆5,000億円、1年当たり3,000億円から5,000億円も削る方向が明記されました。そして、その重要な柱の一つとして、「医療・介護提供体制の適正化」が位置づけられたのです。医療の安心を守るためにも、こうした政府方針には断固反対の立場を貫くべきだと考えますが、いかがですか。ここまでお答えください。 23: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 24: ◯知事(山田啓二君) 上原議員の御質問にお答えいたします。  経済情勢についてでありますけれども、確かにここのところ四半期の下がりが出ているのですけれども、これはギリシャの債務問題とか中国リスク、フォルクスワーゲンの不正ソフトから、最近はテロ問題など、かなり外的な要因が非常に大きな影響をもたらしているのは間違いないので、それを全て安倍総理のせいにするのは少し無理がある。逆に、京都府の平成27年10月の有効求人倍率は1.24倍、正社員の有効求人倍率は約0.8倍と、有効求人倍率に関しては50年ぶり近い数字が出ていますし、正社員の有効求人倍率は過去最高という形になっている。こうした点からすると、府内外において企業が前向きになっているということは、この動きが示しているのではないかなと思います。  そうした中で、私どもとしましては、府内経済の動向は全体として、これは日銀の短観でも出ていますように、緩やかな回復基調にありますので、これをきちっと定着させていくことが必要だということで、中小企業対策や商店街対策も含めて国の補正予算を活用したプレミアム商品券の発行ですとか京の匠商品券の発行など、さらなる消費、内需喚起を行って、今、経済対策にも取り組んでいるところであります。その上で、平成31年度までを実施期間としております京都地域創生戦略において、基本目標として地域経済を活性化させ、仕事をつくることを掲げ、これまでから取り組んできているエコノミック・ガーデニング等によって、改善効果が一過性のものとならないよう、引き続き中小企業を支援していきたいと考えているところであります。  次に、消費税率の引き上げについてでありますけれども、これは何度も繰り返して申していますように、使い道とセットで議論をしなければいけない問題であります。少子高齢化や、先ほどお話がありましたような医療費、こうしたものの財源をどこでどうやって手当てするのかということを含めて議論をしないと、なかなか一方的な議論というのは無理があるのではないかなと。ただし税率を引き上げる場合には、低所得者層や中小企業への配慮が必要でありますので、このことはこれまでから何度も国に申し上げているところでありまして、国においてもそうした観点からの検討が今なされているというふうに聞いているところでございます。  次に、住宅リフォーム助成等でございますけれども、内需拡大につきましては、プレミアム商品券などの補正予算を活用しておりますけれども、住宅リフォーム助成につきましては、京都府ではこれまでから単なるばらまきではなく、耐震性の向上や介護予防、お話がありましたような府内産木材の利用促進といった政策目的を明確にして取り組んでおります。10月に策定いたしました京都府地域創生戦略におきましても、子育てしやすい住環境整備という政策目的を持った住宅改修助成を新たに掲げまして、これからも積極的に取り組んでいきたいと考えているところであります。  賃金などの問題につきましては、私契約も含めた統一的な見解からみんな底上げをしていかなければいけないという話でありますので、ナショナルミニマムとして対応するのが基本だと思います。その上で、府内企業への発注につきましては公契約大綱に基づき、方針をしっかりと明示して地域経済に配慮して積極的に行っているところであります。  次に、固定費補助についてでありますが、これまでからその時々の経済情勢を踏まえ、中小企業の経営安定化に向けた取り組みや機器更新などを対象に支援を実施してきたところであります。昨年度は中小企業経営安定・改善支援事業費等により500件を超える支援を行い、今年度におきましても中小企業知恵の経営ステップアップ事業、京・フェムス推進事業等の固定費削減への支援を実施しております。原材料高やエネルギーコストの増大への対策に利用いただいておりまして、その場限りの施策ではなく、長期的な見通しを持って中小企業の支援に努めているところであります。  中小企業の地域振興に関する基本条例についてでありますが、京都府では小規模企業振興基本法の理念を先取りし、平成19年に制定した中小企業応援条例を平成24年に全会一致で改正いたしました。これに基づき、中小企業応援隊が条例改正後3年半で累計8万8,000社、18万5,000件の企業訪問を行いまして、下支えから設備投資や販路開拓までを一貫支援するエコノミック・ガーデニングに取り組んでいるほか、事業継続支援センターを中心に事業の持続的発展のための支援や人材確保センターを整備し、中小企業の人材確保を支援するなど、全ての中小企業を対象に具体的な施策を講じているところでございます。  次に、TPPの問題についてでありますけれども、10月の大筋合意を受け、京都府として影響試算や対策を求めてきたところでありますけれども、全国知事会のほうは私が会長でありますので、担当の北海道の高橋知事にお願いをして、すぐに緊急の決議を上げていただいたところであります。その中で、国におきましては11月に総合的なTPP関連施策大綱を作成される一方、年内にも影響調査等の結果を公表することとされているところであります。  京都府といたしましては、京都の農林水産業や商工業の実態に応じた施策となるよう国に求めますとともに、効果的な施策を講じるため、今議会においてTPP問題検討調査費をお願いしているところであります。今後、関係の皆様の御意見を幅広くお聞きしながら、府の独自調査・分析も行ってまいりますが、この場合、国に対して提案をしていかなければなりませんので、国の試算・考え方を意識したものにしなければ、これは話がかみ合わないことになってしまいますので、そうしたことを踏まえて行っていきたいと考えているところであります。  TPP協定につきましては、12カ国における大筋合意に至ったところでありますけれども、今後批准に向けて国会においてもしっかりと議論されると思いますが、TPPによる関税撤廃や輸出手続の簡素化などにより府内企業の海外展開などが期待できる一方で、農林漁業者を初め地域から懸念や不安の声がありますことから、先日も説明に来られました高鳥内閣府副大臣に対しまして、合意内容や影響に関し丁寧な説明を行った上で、地域の実情に十分配慮した必要な対策を講じるよう求めたところでございます。  次に、地域医療構想についてでありますけれども、これから経験したことがない超高齢化時代に入り、求められる医療機能も大きく変化する中で、2025年を見据え、高度急性期から在宅に至るまで、こうした変化に即した医療・介護の提供体制について、京都府として明確なビジョンが必要であります。したがいまして、地域医療構想を策定するに当たりましては、地域ごとに疾病の構造、患者の受療動向、医療・介護資源が異なりますので、実情と乖離することのないよう弾力的な計画策定に向け、これは知事会を通じても申し入れたところであります。  加えて京都府におきましても、国が示した画一的な病床数の算定に頼るのではなく、2次医療圏ごとに地元医師会を初め、病院、福祉施設、医療保険者、市町村等で構成いたします地域医療構想調整会議を開催し、地域の意見を伺いますとともに、国から提供されたデータを補完するために医療保険者団体の協力を得て、レセプトデータ等府独自の分析や病院の実態調査などを行う中で、高度急性期から慢性期に至るまでの病床数の算定など、地域の実態に即した地域医療構想に反映させていきたいと考えているところであります。さらに地域医療構想を着実に実現していくためには、医療介護総合確保基金を活用して計画的に病床機能の転換等を進めますとともに、医療・介護・福祉が一体となって進めていくことが必要でありますので、京都府が全国に先駆けて設置した京都地域包括ケア推進機構を中心に、地域包括ケアの推進を図っていきたいと考えておりまして、今後国に対しまして地域の実情に応じた施策展開が可能となるさらなる財政支援ですとか、病床機能転換後も安定した病院運営が行えるような診療報酬及び人員基準等の特別な措置を講じることなど、強く要望していきたいと考えているところであります。 25: ◯議長(植田喜裕君) 上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕 26: ◯上原裕見子君 再質問をいたします。  京都経済についてですけれども、一昨日、国立京都国際会館で280人の業界団体や農業関係者に御参加をいただきまして、経済懇談会を開催いたしました。その場でも、「大企業が業績を回復している一方、多くの中小零細企業にとってアベノミクスの恩恵はなく厳しい状況にある」、また「後継者不足による廃業が少なくない中、創業へのサポートとともに京都らしい企業を守り支えなくてはならない。伝統産業を継続することが、観光などの面でも周囲の事業を支えることになる」というふうな意見が出されました。今一番温めなければならないのは、家計と中小企業ではないでしょうか。  私は、山形県まで行って、住宅リフォーム助成制度についてお話を聞いてまいりました。県ではリフォーム助成を初め、総合的な住宅対策に取り組んでおられまして、年間予算は6億円、4年間で24億円、利用は1万5,936件、4年間での補助対象工事費は約365億円で、融資や利子補給などを合わせると総額約681億円になって、そしてその経済波及効果は1,000億円だというふうに県の担当者からお聞きをいたしました。そして、県内35市町村があるのですけれども、そのうち23自治体が独自に上乗せをしておられます。ばらまきと知事は言われましたけれども、政策目的をはっきりさせることによって、人口減少対策の推進だとか空き家対策も含めて、中小企業振興に結びつけておられるわけなんです。本府でも、住宅リフォームなどの助成、具体策が必要ではないかと思われませんか。これは再答弁をお願いいたします。  TPPについてですが、私、あるJA関係者の方にお話を聞いてまいりました。「京都は野菜とお茶が主力だが、TPPが進んでいく中で生産地として生き残っていけるのかという不安が広がっており、この農家の不安を取り除いてほしい」と言われました。ところが、重要5品目を守ると言いながら3割は完全に関税撤廃して守れなかったわけです。今後、協定書に調印すれば再協議がエンドレスで続き、もっとひどいことになります。専門家の方の試算によりますと、農産物だけでもその損失は少なく見積もっても1兆円を超すと言われていますが、全容が明らかにされず、都合の悪い情報は流されず、全く不透明なものなのです。国の影響調査がどこまで示されるのかわかりませんけれども、数字的なものだけでなく、不安の声も聞きながら、府内の影響調査を独自でする必要が本府としてもっと早くからあったのではないでしょうか。
     農水省が発表したことしの農業センサスによりますと、日本の農業就業人口は2010年からの5年間で51万6,000人減っています。京都では4,719人減少しています。家族経営と地域農業の困難を示しています。国内農業をさらに破壊するTPPから撤退すべきです。  地域医療構想についてですけれども、税と社会保障の一体改革で医療費の削減をずっと具体化してきたわけです。医療介護総合確保推進法で介護保険の利用抑制、そして医療費の負担増が押しつけられ、地域医療構想では必要なベッドを減らすことにつながることが危惧されているわけなのです。これまでも点滴をしたまま退院をさせられるなど、早期退院を迫られることが起こっています。安心して医療や介護にかかれることが府民の願いなのです。そのことに応えていただくよう強く求めておきます。  1点、再答弁をよろしくお願いいたします。 27: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 28: ◯知事(山田啓二君) 府内の経済情勢ですが、有効求人倍率と申しますけれども、今、求人の大きな部分はみんな中小企業で、そちらのほうが非常に活性化している。これをどうやって軌道に乗せていくかということが問題でありまして、その中で補正予算も活用したプレミアム商品券とかそうした経済施策を打って、まさに中小企業の皆さんや家庭の懐を温めるという施策を行っているわけであります。  住宅リフォームもその中で、これは無駄なリフォームにお金を投げるのではなくて、まさに政策目的を明確にすれば私どもはやると言っております。したがいまして、子育てしやすい住環境整備についても、これからやっていくというふうに言っておりますので、どういう政策目的を持って、どこをやっていくのかということをまた提案していただければありがたいなと思います。  その中でTPPに関しましては、私どもは全国知事会を通じて「内容を明らかにしろ」と言っているわけでありまして、内容も明らかにならないのに独自調査などということがあり得るはずがない。その中でしっかりと内容を明らかにし、国としてこの内容を踏まえた形の影響についての基本的な問題を明らかにしていくことによって、初めて独自の調査ができるということは申し上げておきたいと思います。 29: ◯議長(植田喜裕君) 上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕 30: ◯上原裕見子君 京都経済を担うのは中小企業や小規模企業です。(「そう言ってるじゃないか」と言う者あり)いや、そうではないということで、この間に聞いたお話を説明させていただいたわけです。お話を伺った機械金属加工業者は、年金だけでは食べていけないので安価な工賃でも仕事を受けざるを得ない、また和装産業の方は事業の継承も難しくなっているというような状況です。アベノミクスやTPPでは府民の暮らしは一層厳しくなります。だからこそ、本府として住宅リフォームなど地域に再投資される施策の実施を強く求めて、次の質問に移ります。  次に、学生・若者を取り巻く奨学金、ブラックバイトの問題について質問します。  京都の青年が奨学金やブラックバイトの改善に向けた運動を立ち上げ、共産党府会議員団もこれに呼応し、大学門前で学生へのアンケート調査を行ってきました。これまで21カ所、大学等の門前で約400人の学生から直接実態を聞き取りましたが、調査により、学生が追い詰められている深刻な実態が浮き彫りになりました。これが、そのアンケートについてまとめたパネルでございます(資料提示)。奨学金では、47%の学生が借りていて、そのうちほとんどが有利子となっています。また、「学費や奨学金に望むことは何か」という質問では、「学費値下げ」が59%、「給付型奨学金を望む」のは19%、「無利子奨学金を望む」のは13%で、9割以上の学生が学費値下げや奨学金の充実を求めています。大学の学費は値上げされ続けてきましたが、仕送りがないこともあり、学生は奨学金を借り、アルバイトをして学費や生活費を賄わなければなりません。学費問題に困っているという19歳の学生は、月8万円の奨学金を借りていますが、4年で400万円となり、さらに40万円の利子を20年かけて返済していかなければなりません。日本では奨学金を借りている学生は約半数近くになります。7割が有利子で600万、800万円を将来返済しなければならない学生も少なくありません。フィンランドからの留学生は、学費は自国から出ており、さらに給付の奨学金もあるとのことです。日本は高い学費でありながら、給付型奨学金制度がないのはOECD加盟国の中で日本だけという恥ずべき事態で、教育予算は世界最低ランクになっています。  そこでお聞きしますが、国の責任で無利子中心の奨学金制度に切りかえ、給付型奨学金を速やかに創設することを国に求めるべきではないでしょうか。また、京都府として有利子奨学金に対する利子補給制度を創設するなど、府独自の支援も検討するべきではないでしょうか。  10月26日、財務省は国立大学への国の支出を大幅に削減する方針を出しました。「国からの運営費交付金の割合と自己収入割合を同じ割合にする」というものです。自己収入を仮に授業料値上げだけだとして計算してみますと、毎年2万5,000円程度、15年後には93万円程度と40万円もふえることになります。私立大学にも波及し、公立、私立と学費値上げの連鎖が引き起こされるのではないでしょうか。高学費のために大学進学を諦めざるを得ない若者を国の政策でつくり出すことになってはいけません。学費軽減とは逆行するものです。国立大学の運営費交付金削減方針は断固撤回するべきです。  次に、ブラックバイトについてです。学生や大学教員からも声が上がり、日本共産党も昨年6月に「ブラックバイトから学生生活を守ろう」と提言を出し、対策を求めてきました。そうした世論と運動に押されて、厚労省がことし、初の学生ブラックバイトの実態調査を行いました。調査では、約6割が違法・無法なトラブルを経験していることや、学生生活への悪影響など、深刻な実態が明らかになりました。ある法学部2回生の学生は「飲食店で時給が700円だったため最賃以下だと指摘すると首にされた」、違う大学生は「最低賃金の引き上げで時給が50円上がって喜んだが、従業員を減らし定時を過ぎても帰れなくなった」と話してくれました。また、半数近くの学生が、アルバイトで何らかのトラブルに遭ったことがあると答えるなど、違法・無法な働かせ方が蔓延しています。  京都府としても、まずはこうした学生の実態を調査するべきではないでしょうか。また、労働局とも連携して、是正指導などを行うべきではないでしょうか。  次に、亀岡スタジアム建設について質問をいたします。  11月1日の亀岡市長選挙では、サッカースタジアム建設計画の問題が最大の争点となりました。アユモドキの保全や水害への不安、膨張する建設費が問題になり、「サッカースタジアム建設反対」を訴えた候補が前回の2倍以上の票を得ました。京都新聞は、「新市長の勝利で地元がサッカースタジアム推進で決着したと捉えるのは時期尚早」「府は選挙結果を踏まえ、投入する公費に見合う事業なのか、府民にさらに丁寧な説明が求められる」と報道しました。  サッカースタジアム建設計画は、亀岡市の都市公園条例で定められている施設面積を規制緩和し、観覧席の転落防止の安全対策についても議会と府民に報告しないまま規制緩和を進めました。我が党の光永議員の「154億円の本体工事費に加えて、地下水排水対策費や地下駐車場整備、にぎわい施設ゾーンの事業費が加わると、総事業費は一体幾らになるのか」との質問に対して、知事は「デザインビルド方式によりコスト削減を行い、財政確保はネーミングライツの導入や幅広く府民の支援をお願いする」と答弁され、一体どれだけの予算が必要なのか明らかにされませんでした。  11月19日には、国際自然保護連合がアユモドキを絶滅危惧種の3ランクの中でも最も絶滅の危険度が高い種に指定し、「数少ない生息地の亀岡市でサッカースタジアム建設計画を進めることにより、ごく近い将来、絶滅の危険性が極めて高い」と警告しました。知事は20日の記者会見で、「国際自然保護連合には聞き取りをしてほしかった」などと発言されました。これまでにも「サッカースタジアム建設がアユモドキの絶滅につながる」として、全国から38を超える自然保護団体や学術団体、専門家が要望を出されてきましたが、知事はどれだけの要望に対応されてこられたのでしょうか。国際自然保護連合は、7,500人を超す科学者や関係機関が世界の生物種の絶滅について調査されており、知事は世界のこの声に真摯に対応すべきではありませんか。  また、6月4日に、日本自然保護協会は京都府公共事業評価に係る第三者委員会に対して意見書を提出し、魚類の専門家の調査結果で「喫緊の5年間で顕著な減少傾向が認められる」として、新たな開発行為を実施しないことが種の保全に優先されるべきだとし、サッカースタジアム建設計画を中止するよう求めています。知事は、今回の国際自然保護連合の指摘をどう受けとめておられますか。工事を行うことで産卵する水田環境が壊され、絶滅する可能性があるとは考えませんか。  次に、高浜原発の再稼働についてお聞きします。  この間、高浜原発から30キロ圏内地域にある5市2町で住民説明会が順次開催されてきました。最初に開催された高浜原発に一番近い舞鶴市は、参加者を自治会長や消防団、幼稚園や保育園、病院・介護施設、民生委員や児童委員、団体・労働組合、府市会議員などに限定しました。一般市民の方が「私たちも聞きたい」と横断幕を持って会場前で要望されたとのことです。参加できなかった住民に対して、ホームページでの資料や動画サイトの閲覧、パソコンのない方はDVDの貸し出しを行っています。会場で質問できたのは市長だけで、他の会場では1人2分で1回のみと限定されるところもありました。後日、質問や意見の提出を受け付けるとされましたが、期間は約1週間程度であって、余りにも短いと言えます。  説明会では、資源エネルギー庁が原発の必要性を強調し、原子力規制委員会からは新規制基準の説明の中で、「放射性物質漏れが起こっても福島事故で放出された放射線より三桁は少なくなる」「事故が起きたとしても安心だ」と、このような言葉が続けられました。また、住民の意見が公表されましたが、「高浜と大飯と同時に事故が起こればどうするのか」「電力は足りているのに再稼働を進めるのか」「事故後の屋内退避で、木造住宅では被曝するのではないか」など、多様な不安な意見が出されました。  そこでお聞きしますが、こういった不安な思いの住民に対し、知事はどう受けとめておられますか。このような一方的な説明は、新たな安全神話を押しつけるようなものだと考えますが、いかがですか。  また、この説明会は再稼働を進めるための住民説明会ではないということをはっきりしておくべきと考えますが、いかがですか。  さて、再稼働されれば使用済み核燃料がふえ続け、新たな中間貯蔵施設の建設が進められてしまいます。使用済み核燃料の中間貯蔵施設を「福井県外」「港がある」「発電所内」と、昨年、関西電力の社長が発言し、関西電力は先日、2020年ごろまでに場所を確定し、2030年ごろに操業するという計画を発表しました。これに対して宮津市の説明会では、住民から「核のごみの行き場がないのに再稼働は許せない」「中間貯蔵施設が永久貯蔵になる」などの意見が出されました。また、高速増殖炉「もんじゅ」は、多数の点検漏れなどの不備が繰り返され、約20年間に年間200億円の維持費をかけても運転実績がほとんどなく、運営主体の変更もめどが立たず、廃炉も視野にしていることが報道されました。六ヶ所村の再処理工場建設も2兆円以上をかけながら完成延期を23回も繰り返すなど、核燃料サイクル計画も行き詰まっているのです。このように使用済み核燃料の処理を見ても、原発政策は既に破綻しています。国民の多数は異質な危険のある原発の再稼働を望んでいません。  そこで伺います。知事は、中間貯蔵施設については反対の意向を示しておられます。それなら再稼働の計画も反対すべきと思いますが、いかがですか。知事の御所見をお伺いいたします。  次に、米軍レーダー基地問題についてお聞きします。  今、沖縄の辺野古での新基地建設に反対する声や運動が全国から広がっています。「沖縄の問題は私たち自身の問題だと一人一人が声を上げよう」と、11月13日、14日の両日、SEALDs(シールズ)の皆さんは沖縄の辺野古新基地建設に反対して、沖縄、東京、名古屋、大阪の4都府県で緊急の街頭宣伝を行いました。安倍政権が平和と安全を脅かす政治をすればするほど国民は黙っていないと、みんなで力を合わせているのです。日本共産党は安保法制廃止の一点で政党や団体、個人の皆さんと共闘しようと、国民連合政府の呼びかけを行っています。そして「戦争させない・9条壊すな!」と、総がかり行動実行委員会による「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」の取り組みが全国で始まりました。  こうした声を無視して、安倍政権は南シナ海問題で自衛隊派兵を検討すると表明しています。戦争法がアメリカとともに世界で軍事的な活動を広げていくことを示す動きです。米軍基地建設と自衛隊派兵は、戦争法により加速されようとしています。「平和を守れ」「憲法を守れ」「立憲主義を取り戻せ」という民意を踏みにじるものです。安保法制(戦争法)は廃止すべきです。  また、京丹後市経ヶ岬の米軍基地のレーダーが昨年12月26日に本格稼働し、間もなく1年となります。この間、騒音や交通事故や地元無視の宿舎建設など、地元住民の皆さんの不安と苦痛は絶え間なく続いてきました。その上に、今回、京都新聞社がドクターヘリ航行履歴について府に問い合わせたところ、府が「防衛秘密に当たる」として非開示にしていたとの報道がありました。ドクターヘリは医療機関の少ない丹後地域では救急の搬送として重要な役割を果たしていますが、レーダーの半径6キロ、上空6,000メートルを飛行するときはレーダーの停波を米軍基地に要請するとの約束があります。ドクターヘリの航行記録は把握しておくべきことです。それが開示できないとしたことについて、「特定秘密保護法の弊害ではないか。これでは行政への市民の信頼を損なう」と、同新聞の社説で厳しく指摘をされていました。  このことについて知事は、防衛省近畿中部防衛局から「『米軍の運用上の秘密に当たるので開示しないでいただきたい』と、口頭や通知で複数回要請されていたので報道機関からの問い合わせに回答しなかった」と説明をされました。そのことをもって情報を開示してこなかったことは極めて重大ではないでしょうか。近畿中部防衛局からどのようなことを言われたのか、非公開とした根拠はどうだったのか、真相をお尋ねいたします。  そもそも、昨年秋にレーダーの搬入を闇夜で行ったことを初めとして、地元住民には情報が伝えられず、安心・安全の確保と地元の同意がことごとく踏みにじられてきたのが現状です。アメリカや防衛省の言いなりで、強く抗議もせず何も改善されないことに、ますます住民の不安は拡大するばかりです。  10月31日、京丹後市網野で「いらんちゃフェスタ」が開かれ、700人が参加をしました。オール沖縄を代表して赤嶺政賢衆議院議員が辺野古の基地建設強行に対する沖縄県民の闘いを報告され、連帯を呼びかけられました。沖縄と同様、京都にも米軍基地は要らないのです。アメリカの基地押しつけに何も言えないのではなく、住民の立場で強く抗議するべきと思いますが、いかがですか。そもそも、米軍基地は撤去すべきと思いますが、そのお考えはないのですか。  ここまでお答えください。 31: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 32: ◯知事(山田啓二君) まず、奨学金についてでありますけれども、大学における学生の就学環境の整備、都道府県のほうは、実は高校を担当しているのですけれども、これは国の責任のもと、各種の制度が構築されております。国の「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」におきましては、無利子奨学金の一層の充実、より柔軟な所得連動返還型奨学金の導入が示されまして、京都府といたしましても無利子奨学金の拡充など、全国知事会も含め積極的に提案をしてきたところであります。その結果、教育再生実行会議の第8次提言におきましても、高等教育段階における教育費負担軽減が示され、平成28年度概算要求におきましても、無利子奨学金の貸与人員を増加させ、有利子奨学金については、在学中は無利子、そして返還中は低利子とするために利子補給金を措置する。返還月額が卒業後の所得に連動する所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた制度設計を進める等の奨学金制度の充実、さらには国立大学の授業料減免枠の拡大や授業料減免等を行う私立大学への支援拡充が計上されるとともに、国の一億総活躍緊急対策においても、教育費負担軽減のための大学生の奨学金充実が検討されるなど、今、積極的に充実が進められているところであります。  特に、貧困家庭の子ども等の支援につきましては、ことし10月に「子供の未来応援国民運動発起人会議」が開催されました。私も発起人でありまして、この奨学金制度の改善について訴えたところでありまして、こうした中で「子供の未来応援基金」が当該運動の中心的役割を担う日本財団に設置されることになりました。草の根で支援を行うNPO等支援も含めて、今新しい形で仕組みが構築されようとしております。児童養護施設で暮らしている子どもたちを対象に、給付型奨学金もこの日本財団において新設されるなど、大学等への進学における環境整備が進められているところであります。  さらに京都府におきましても、新たに国に対し、所得連動返還型奨学金制度の早期導入について要望を行いますとともに、全国知事会に諮りまして、経済的理由により修学を断念することがないよう教育費負担軽減施策の充実について、国に対し、少子化対策、そして子どもの貧困対策における緊急提言を先日の全国知事会の会議でも決議をし、要請を行ったところであります。  その中で、京都府としましても高校生に対し、高校生等修学支援事業として旧日本育英会から引き継いだ貸付制度を着実に実施するとともに、京都の場合、私立高校が多いという特徴のある中で、あんしん修学支援事業として全国トップクラスの制度を実施し、こうした分担の中で最大限の努力をしているところであります。  次に、ブラックバイトについてでありますけれども、既に労働相談所における労働契約、労働時間などにおける相談や、労働局との密接な連携により、京都におけるブラックバイトの実態の把握に努めてきたところであります。その中で、労働相談で把握した違法行為が疑われる事例につきましては、その内容により労働基準監督署に連絡し、事実確認や是正指導を求めるなど、これまでから労働局と連携し、コンプライアンスの徹底を図ってまいりました。  さらに、中小企業の就労環境の向上を支援するために、国・府・社会保険労務士から成る就労環境改善チームを設置し、専門家によるアドバイザーの派遣を今年度10月までに344回実施をしているところであります。先日開催しました京都雇用創出活力会議において、ブラック企業の根絶に向け、労働局における監督・指導の徹底や京都府・京都市・労使団体による労働関係法令等の周知啓発など、オール京都で取り組んでいくことを改めて確認したところであります。  京都スタジアムについてでありますけれども、亀岡市に生息するアユモドキは、現在もこの地で生息しているのは、これまで地元の方々や亀岡市、京都府とも協働して産卵に必要なラバーダム起立時期の調整やダム起立時、水田の中干し時、水田の落水時における河川や水路に取り残されたアユモドキを救出し放流する救出活動、さらに産卵場の草刈り・清掃、外来魚駆除、密猟防止パトロールなど、献身的に保全活動に取り組んでこられてきたからでありまして、自然のままで、そのままで生息をしているというわけではございません。いわば人の手で一生懸命保持をしながら育ててきたものであります。しかし、地域の農家戸数の減少や耕作放棄地の増加などの営農活動の低下による生息環境の悪化や、地元住民の高齢化による保全活動の衰退が懸念されておりまして、このままではこの地域での生息は難しい状況にあります。  そうした中で京都府としては、現状を維持するだけではなく、脆弱な生息環境を改善するために、京都スタジアムの整備を契機としてアユモドキの保全に必要な広域的な生息環境の改善対策、地元だけではなく広く社会全体での保全活動、スタジアムの運営とアユモドキの保全が一体となった地域振興の展開など、将来にわたってアユモドキが生息できるシステムを積極的に構築していきたいと考えております。  現在、環境保全専門家会議の指導を得ながら、スタジアム本体整備後の状態を想定した水田耕作状態をつくり出し、スタジアム整備がアユモドキの生息環境に与える影響を評価するための実証実験を行いますとともに、スタジアム整備後のアユモドキの生息場所となる水路の再整備や共生ゾーンの設置に向けたアユモドキの生息環境再生整備実験を行うなど、公共事業評価に係る第三者委員会の工事着手の理解が得られるよう取り組んでいるところでありまして、今後とも段階を踏んで慎重に進めていきたいと考えております。  次に、高浜原発問題についてでありますが、この問題は、何よりも府民の安心・安全の確保が重要であります。こうした観点から、11月2日の舞鶴市を皮切りに、27日まで7市町で住民説明会を開催していただいたものでありますけれども、原発の必要性や安全性、避難方法などに関する住民の生の声をお聞きし、そうした不安を払拭する必要性を改めて感じたところでありまして、次回の高浜発電所に係る地域協議会において、国や関西電力にもこうした声に対する回答を求めていきたいと考えております。  なお、地域の実情に応じて開催形式は異なりますが、いずれの市町の説明会も、後日、住民からの質問・意見を取りまとめ、国や関西電力からの回答をホームページ等で公表することとしており、一方的な説明会という指摘は当たらないと思います。この説明会は、これまで知事と関係市町長が出席する地域協議会での説明・質疑を行った内容について地域住民の皆様にも説明を聞いていただき、説明に対する住民の質問、率直な意見を国、関西電力へ投げかけるために開催したものでありまして、再稼働についての判断を前提としたものではございません。  使用済み核燃料の中間貯蔵施設につきましては、関西電力が11月20日に「使用済燃料対策推進計画」を発表し、2030年に操業開始を目指しておりますけれども、私どもといたしましては、まず高浜発電所については安心・安全というものをきちっと確保していただく、これが京都府の役割であります。エネルギー対策全体の流れ、構築というものは国がしっかりと計画を立てて、国家的な戦略として考えていかなければなりません。したがいまして、これから再稼働というものを国が責任を持って行うのであれば、使用済み核燃料に対する対策を示し、それに対する処理を示すことは、私は国の責務であるというふうに思っております。  その点から、そうした私どもに対して、使用済み核燃料というものを押しつけることがないように関西電力や国に対しても申し上げてきているところでありまして、今回地元の同意はなく、中間貯蔵施設の建設は進めないとホームページで関西電力も発表いたしましたけれども、こうした点も確認しながら、安心・安全の確保に全力を挙げていきたいと考えているところであります。  次に、米軍レーダー基地についてでありますが、ドクターヘリの航行記録に関して報道機関から取材があった際に、安全保障を所管する防衛省から、停波要請日時は米軍の運用にかかわるものであり、不開示とするよう要請がありました。基本的に防衛関係の情報との話だったので、責任を持つ防衛省であることを鑑みて対応したところであります。これに対し、後日それと反する報道がありましたために、防衛省にこの記事の真偽も問いただし、明確な回答がないまま、私どもとしましては、それはおかしいだろうということで開示をさせていただきました。  なお、近畿中部防衛局からは12月1日付で、停波に関する情報は国の情報公開法の不開示条項に該当すると考えられるため、京都府においても不開示とするよう要請したことを認めますとともに、混乱を招いたことに対しおわびをする旨の文書が届いたところであります。  次に、米軍基地の話でありますけれども、国の防衛・安全については、やっぱり国が責任を持つべきであると。そうした中で、京都府の経ヶ岬のレーダー基地は、これはまさにレーダーとして日本に対して飛来するミサイル等を探知する防衛的なものであります。したがいまして、こういったエネルギーや防衛の観点からなされているものにつきましては、国の防衛に資するというのが防衛省の正式見解でありまして、この点から、我々としては国としてしっかりとした防衛体制を構築してもらう必要があるという点で、撤去を求める気はございません。 33: ◯議長(植田喜裕君) 上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕 34: ◯上原裕見子君 再質問をさせていただきます。このグラフ、ちょっと知事には見えにくかったかと思いますけれども、このグラフを見てどう思われますか(資料提示)。  高校生の修学支援の話をされましたけれども、大学としての質問をしておりまして、大学卒業とともに借金を背負って社会人のスタートを切るわけです。「結婚したいけれども、奨学金の返済を抱えていると消極的になる」という話をお聞きしたこともあります。若者の希望を閉ざし、日本の将来にもかかわってくるこの深刻な状態を、これ以上放置することはできないというふうに私は思います。  そして、ブラックバイトなんですけれども、そのために学生が働く、バイトをする。その働き方が違法・無法な働き方をされている。また、ここから抜け出せないという状況になっている学生も少なくないわけですね。ですから、私、もう一度知事にお伺いしたいのは、ブラック企業を根絶するためにも実態調査をぜひしていただきたいと求めておきます。  それから、スタジアム建設ですけれども、なぜ国際自然保護連合がアユモドキを絶滅危惧種にしたのか、その重大性をわかっておられないんじゃないかというふうに思います。私、先日、アユモドキの研究者の近畿大学の教授でいらっしゃいます細谷和海先生にお会いしてお話を聞いてまいりました。アユモドキは、実はボティアという熱帯魚の仲間なんだそうです。なぜ日本に生息しているのか。それは500万年の歴史があり、進化の生き証人だという驚くべき魚でありまして、国内では岡山と亀岡に生息していますけれども、亀岡は琵琶湖・淀川水系と同じ種類、それが亀岡以外は絶滅してしまったわけなんです。旧八木町は町民憲章で「アユモドキが住むふるさとを守ろう」と町のシンボルとして保全を進めてきました。しかし、水田の圃場整備を進めた結果、絶滅したというふうに言われています。  知事は、11月20日の記者会見で「亀岡市のアユモドキは人工飼育に近いことをして保護している」と発言されています。しかし、アユモドキは川底などに生息し、雨の季節に水田や農業水路に移動し、ヨシやアシ、稲などの根元で産卵する独特の生活環境が必要なのです。それもまだ不明で、全生活を調査するには20年はかかるだろうと先生は言われています。「2年ぐらいの調査で共生ゾーンで生息させますと言っても、これは絶滅してしまう」と先生はきっぱり言われました。この点でも、サッカースタジアム建設計画は白紙撤回するしかありません。知事の再答弁を求めます。  原発再稼働についてですけれども、舞鶴市の避難計画では6万5,000人が京都市に避難するということにされています。そして、その避難箇所のうち15カ所が元小学校です。しかし、京都市はこの小学校をブライダル施設など民間活用するとしています。これは、避難計画を形だけ整えたという結果ではないでしょうか。ましてや、原発再稼働の条件に避難計画が対象外とされていることは、住民の命を考えていないということです。高浜原発の再稼働はやめるべきだと強く指摘をしておきます。  米軍レーダー基地についてですが、府民の命にかかわる情報提供を、防衛省近畿中部防衛局の要請だとして公開しなかったことは重大です。知事はこれまで、「府民の安心・安全を国において確保されなければ協力はしない」と言われていました。防衛局の要請を確認もせずに受け入れることは、住民の命を守るとしてきた立場に立っておらず、大きく反するものではないでしょうか。  また、防衛局は情報開示について、府医療課と府に対し違う説明をしています。このことも混乱を招きました。そもそも、府が防衛局の言うがままになっているということが根本問題ではなかったでしょうか。  また、米国が対IS軍事作戦への協力を求めてきたとしたら、戦争法によって断ることができなくなる可能性があります。そもそもこの基地は、アメリカのミサイル防衛構想によってアメリカのために計画されたものです。米軍基地も標的にされる可能性もあり、米軍レーダー基地は撤去すべきです。そして同時に、戦争法も廃止すべきです。指摘しておきます。  2点、再答弁をお願いいたします。 35: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 36: ◯知事(山田啓二君) 奨学金でありますけれども、まさにその図のように、今やっぱり大学生の皆さんが置かれている環境が厳しいので、私は今、全国の地方公共団体を代表して国に申し入れ、また、これは「子供の未来応援基金」「子供の未来応援国民運動発起人会議」の発起人として国に対して、地方公共団体だけではなくて、まさにこういう発起人の立場からも求め、その中において今一定の改善がなされているところであります。これからも徹底した奨学金の改善について、私は中教審の委員でもありますので、訴えてまいりたいと思っております。  アユモドキなんですけれども、お話がありましたように、八木や淀川水系でも全滅してしまったのですよ。そのままの自然があったところで全滅しているのです。それに対して、亀岡は唯一残っており、まさに先ほど申しましたように、亀岡市民の皆さんがそれぞれの水田の中干し時やラバーダムの起立時期の調整といったものをやっている。安定した環境をつくらなければ、ここもいずれ全滅をいたします。そうした面で、私どもは安定した環境をつくるために専門家を入れて、今そのための整備を進めようとしているわけでありますので、御理解をいただきたいと思います。 37: ◯議長(植田喜裕君) 上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕 38: ◯上原裕見子君 奨学金の問題、何度も言うようですけれども、学生の問題だけではありません。この国の将来、日本の将来にも大きく影響するものです。学業に専念し、社会に巣立つときには安心してその個性と能力が発揮できるように調査もし、本府独自の取り組みを進めていただくよう、またブラックバイトについても調査をしていただきますように強く要望しておきます。  スタジアム建設問題ですが、「開発することで守られる自然はない。世界から見れば、京都が文化都市であるかが試されている」と専門家は言われています。スタジアムの場所は変更できますが、アユモドキの生息地は変えられません。白紙撤回を強く求めて、次の質問に入ります。  次に、府教育委員会が進める府立高校再編・統廃合計画づくりについて質問します。  府教育委員会は、ことしの8月から9月にかけて「生徒減少期における府立高校の在り方検討会議」を行いましたが、そこでは「生徒減少数から統廃合が最も想定されるのは丹後地域」であること、「最少規模学級を3学級にすることを前提に、統廃合のあり方を模索すべき」等の議論が行われました。地域から高校がなくなることは、子どもたちにとっても大きな影響をもたらす重大問題です。  加悦谷高校は、地域の熱い思いで定時制からスタートした高校であり、与謝野町で育った生徒が地域に貢献する取り組みに力を入れ、ボランティア活動や与謝野町への提案・提言事業を行っています。オリンピックに出場したウエートリフティング部を初め、スポーツ部は地域の小・中学校に出向いたり、書道部は与謝野駅に町を紹介した書を展示し、地域と結びついたさまざまな取り組みを行っています。また、PTAが高校生に着つけ教室を行い、町の着物祭りでパレードに参加する行事を盛り立てていました。網野高校では、地域の特産物や名所を生かした地域産業おこしの提案活動、保育士や看護師を目指す生徒がボランティアとしての実習、体験活動を行っています。地元の方々は「網野高校は地域の人たちが土地を寄附してつくった。卒業生として地元の高校を大事にしたい」と語っておられました。  京丹後市は市町村合併により、小学校が31校から19校、中学校は9校から6校になり、「地域、保護者、学校で一緒になって子どもを育てることができなくなってきた。この上、高校までなくなったら困る」との声が寄せられました。  また、昼間定時制の間人(たいざ)分校の生徒は、さまざまな体験活動を地域の社会人講師の協力を得て4年間かけてじっくり学び、全員が就職を決めておられます。宮津高校伊根分校や峰山高校弥栄分校、北桑田高校美山分校は、生徒の少人数の利点を生かし、就労支援や農業などの特色ある教育が進められています。「やり終えたときの生徒の成長は大きく、教育効果が高い」と言われています。府立高校を廃止することは、地域とともに若者を育てる役割を途絶えさせることになります。さらに、府立高校の再編と統廃合は、子どもたちの進路に大きな影響を与えます。分校も含め、生徒数の減少を理由にした府立高校の統廃合は行わないよう強く求めます。いかがですか、お答えください。  次に、再編・統廃合で生徒や保護者が求める希望が実現するのかという問題です。久美浜町では「地元高校から普通科がなくなると、仕方なく他地域の普通科を選ぶか、地元高校を選び普通科を諦めるしかない。この機会に改善してほしい」、また、網野町では「歩いて15分で通える出身校の網野高校を子どもに勧めたが、子どもは高校の大学進学率を見て、電車で45分かけて峰山高校へ通学している。通学費も高い。帰宅も遅くなり、子どもは疲れ果てている。昔の学区制に戻し、どこの高校でも希望する進路を目指せるようにしてほしい」との意見が寄せられました。地元の中学生と保護者の要望に応え、どの高校、どの課程に学んでも格差のない豊かな教育が受けられる体制づくりと教育条件の整備こそ必要ではないでしょうか。  そこでお伺いします。府教育委員会は、地域や保護者や生徒、先生の意見をどういう形で聞くおつもりですか。十分に聞こうとするなら、教育委員会がスピード感を持って取り組むというのは間違っているのではないでしょうか。お答えください。  最後に、自治体のあり方についてお聞きします。  安倍内閣の地方創生戦略を受けて、京都府は「京都流 地域創生」「文化創生」と名づけられた京都府地域創生戦略と人口ビジョンをこの10月に策定しました。安倍政権の地方創生は、地方から活力を奪った自民党政治への総括も反省もなしに、地方消滅の脅しで危機感をあおり、社会保障費と地方交付税の削減は仕方がない、足りない分は民間投資の活用と住民の自助・互助で賄えと、選択と集中を地方に押しつけるものです。また、連携中枢都市圏構想により、周辺自治体の切り捨てを進めようとしています。  京都府の戦略の内容は、人口減や少子化の原因には触れず、企業が最も活動しやすい条件をつくるための特区の活用や企業の誘致、さらに特定産業・成長産業支援など中小企業を切り捨てるものです。また、府内自治体の今後のあり方として、北部連携都市圏構想を初め、中小都市に役割、機能分担を求め、エリア全体で都市機能や生活サービスを維持する広域行政へのシフト。行政の進め方として、企業などさまざまな主体との連携・協働など、行政のイノベーションの名のもと、公共サービスの切り捨てなど重大な問題を抱えています。このような政府言いなりの計画は見直すべきと考えますが、いかがですか。  また、自治体のあり方に関連して今議会に提案されている「京都府豊かな森を育てる府民税条例」についてお聞きします。  森林は水源の涵養、国土の保全、地球温暖化防止などの公益的な役割を持っていますが、歴代政権の中で進められてきた木材の自由化などによる木材価格の低迷、中山間地域の高齢化などを背景に、森林の荒廃が進んでいます。近年、大雨による災害が頻発しているもとで、府域の75%を森林が占めている京都府でも、森林環境の整備・保全は喫緊の課題となっています。そのためには国の役割が重要ですが、森林整備予算は平成20年の1,624億円から、今年度は1,202億円と大幅に減っています。政府は、国内林業の保護と国土保全を目的とした林業政策を初め、農林水産政策を転換するとともに、森林環境の整備・保全のための抜本的対策を行うべきです。  ところが今回の提案では、個人住民税の特例を設け、法人税を除き府民1人当たり600円を課すものであり、まさに全ての府民に広く課税する大衆課税です。自然環境を守り伝えていく上で、公的な施策を強化することは大切ですが、新しい税の導入には問題が多くあります。国の責任を免罪し、森林整備予算を年々減らしておいて、その財源のための増税には疑問を持たざるを得ません。「京都府豊かな森を育てる府民税条例」について、提案を撤回すべきではないですか。お答えください。 39: ◯議長(植田喜裕君) 山田知事。    〔知事山田啓二君登壇〕 40: ◯知事(山田啓二君) 地域創生戦略についてでありますけれども、地域創生というのは、行政だけが行うのではなくて、本当に市町村、府民、企業、大学、NPOなど、さまざまな主体が力を合わせて地域をよくしていかなければなりません。その中で、連携なのですけれども、国が何か北部連携都市のようなことを主張したことがあったのでしょうか。国は「20万都市に集約して都市機能を維持することによって、それをダムとする」と言ったわけですね。それに対して京都府がまさに反対をして、そういう集約ではなくて、連携で行うべきではないかということを地方制度調査会の答申にも入れてもらい、さらに今、国の地方創生戦略の中にも、それを変えろという形で提案をしているのが実態でありまして、まさに国と全く違うことを私どもは主張したという、これが事実であります。  次に、森林環境税ですけれども、国、国と言うんですけれども、国も財源が要るんですよ。ですから、今、国で森林環境税をつくる、つくらないという提案を林野庁はやっているじゃないですか。それに対して賛成するつもりなんですか。我々の地域は我々の地域できちっと森林環境を守ろうということで、私どもはこれを今提案しているわけでありまして、まさに国家主義的な観点から森林問題をやろうとする点は、私はどうしても納得できないところでありますし、そうした中で財源の問題を言わずに「奨学金をあげろ」とか、「地域医療をやろう」と言ったって、これは余りにも無理に無理を重ねていくだけで、借金が積み重なって、結局、次の世代が困るだけじゃないですか。次の世代にツケを残さないようにしっかりと自分たちで負担するものは負担してやっていくというのが、我々の今の世代の人間の役割ではないでしょうか。 41: ◯議長(植田喜裕君) 小田垣教育長。    〔教育長小田垣勉君登壇〕 42: ◯教育長(小田垣勉君) 上原議員の御質問にお答えをいたします。  府立高校の今後のあり方についてでございますが、中学校卒業者数の減少が見込まれる中、統廃合を前提としてではなく、より魅力ある高校教育を推進する観点から、活性化策などにつきまして各分野の方々から御意見を求めるために、「生徒減少期における府立高校の在り方検討会議」を設置し、8月から9月にかけまして会議を開催してきたところでございます。委員の皆様からは、例えば「地域創生、地域の人材育成、地域活性化の観点から戦略を考える必要がある」「教育効果や教育の質の面から適正規模を考えるべきである」「これまでの本校・分校の発想を変え、既存の高校をキャンパス化することも検討する必要がある」、さらに「現在求められる定時制や分校のあり方について整理し、分校の果たしている機能を別の形に組みかえるなど新たな仕組みを検討する必要がある」といった幅広い御意見をいただいたところでございます。こうした委員の皆様の御意見も踏まえまして、さらに検討してまいります。  具体的には、生徒数の減少が著しい府北部地域につきまして、地域の府立学校、市町や市町教育委員会、保護者を初め地元関係者の方々にお集まりをいただきまして、御意見をお聞きする場を設けてまいりたいと考えております。またその後、具体的な計画を策定するに当たりましては、該当地域における説明会の開催やパブリックコメントを実施するなどして、広く府民の皆様の御意見をお聞きしたいと考えているところでございます。  府教育委員会といたしましては、丁寧に、かつ生徒の急減が目前に迫っているという状況を的確に受けとめまして、具体的な方向性について検討を進めてまいります。 43: ◯議長(植田喜裕君) 上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕
    44: ◯上原裕見子君 1点、再質問をさせていただきます。先日、山田知事が「子どもの数が減ったことにより教員を削減するのはおかしいじゃないか」と安倍首相に迫っておられました。生徒減少を理由に地域から高校をなくしてしまうことも同じではないでしょうか。  ことしの5月19日、教育再生実行会議の教育財源の在り方討議で、京都市の門川市長は「これまで学校統廃合を徹底して実行してきた」として、68校を17校に統合し、その財源効果は年間学校運営費が22億円、学校施設の改築経費は441億円、教職員は358人、人件費は32億円の削減と、「いかに財政効果が大きいか」と自慢げにしておられました。財政削減と教育は相入れません。  島根県では、生徒数が減少しても高校存続のために不断の努力をされています。「生徒が巣立ってもいつかふるさとに戻ってきてくれること。戻ってこなくても立派な社会人となってくれること。それが自治体の役割だ」と、高校が存在している町長さんが話しておられます。地域と一体となっている高校をなくすことがいかに生徒と地域に影響を及ぼすか、それでも統廃合を進めるのか、教育長にもう一度お聞きをします。  それから、「京都府豊かな森を育てる府民税条例」は、府民の暮らしが今本当に厳しい中で、消費税の増税も計画されている中、これ以上の負担増はやめるべきだということを強く求めておきます。 45: ◯議長(植田喜裕君) 小田垣教育長。    〔教育長小田垣勉君登壇〕 46: ◯教育長(小田垣勉君) 上原議員の再質問にお答えをいたします。  先ほども答弁させていただきましたように、中学校卒業者数の減少が見込まれる中で、統廃合を前提としてではなく、より魅力ある高校教育を推進する観点から、活性化策などについて今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。 47: ◯議長(植田喜裕君) 上原裕見子君。    〔上原裕見子君登壇〕 48: ◯上原裕見子君 ぜひ、保護者や子どもさん、また住民の皆さんからしっかり意見を聞いて進めていただきたい。それは統廃合や再編という意味ではなくて、今後のあり方について皆さんと相談していただく。また、先ほども出ていました高校制度のあり方そのものも、久美浜での普通科がないということも切実に訴えられています。こういうことも含めまして、検討をぜひしていただきたいと思います。  最後に一言申し上げます。戦争法の強行、消費税増税、社会保障の解体、TPPの大筋合意、原発再稼働、大企業中心の経済政策、安倍政権の政治から府民の命、暮らし、仕事、平和、安全を守るのが、府政の役割だと思います。国言いなりの政治でなく、府民のための府政を行っていただくよう強く求めまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)            ──────────────────── 49: ◯議長(植田喜裕君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  明12月8日午後1時から本会議を開きますので、御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後4時40分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...